共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年7月 - 2023年3月

多層オミクス解析から得た病態に基づく水疱性角膜症の治療薬剤の探索

日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)

課題番号
20K21663
配分額
(総額)
3,770,000円
(直接経費)
2,900,000円
(間接経費)
870,000円

水疱性角膜症では、ミトコンドリアの形態異常(空胞変性)、電子伝達系関連遺伝子の低下、前房水での前房水の糖代謝の低下がみられることを受けて(Yamaguchi T, et al, Science Advances 2020)、虹彩萎縮と水疱性角膜症を伴う眼の前房水のMetabolome解析を行った。解析したのは、白内障(コントロール):n = 10眼, 遺伝性角膜内皮疾患(Fuchs角膜内皮ジストロフィ、以下Fuchs):n = 8眼,後天性角膜内皮障害(水疱性角膜症、以下PBK):n = 13眼の合計 31眼で、LC-MSによるメタボローム解析を行った。結果をHeat mapにすると、コントロール、Fuchs、PBKで代謝物質に明らかに異なる傾向があることが示された。さらにPCA解析を行うと、3群は多少のオーバーラップはあるものの異なる傾向があり、PLS-DA解析で特徴化に寄与する物質として、Adenosine、Cystein、Hydroxylisine、ADMA、Prolineがあることが示された(大きい順に)。また、前房水で濃度が濃い代謝物質として、高い順にLactate, Pyruvate, Glucose、Frucnate、Fructose、Glutamineが測定され、Fuchsの前房水では、コントロールとPBKと比較して、統計学的に有意にGlucose濃度が低いことが分かった。また、酸化還元反応に関与するGSH、Cys濃度は、正常、Fuchs、PBKの順で高い傾向があった(N数が少ないため統計学的な有意差はなし)。ミトコンドリアや酸化還元反応の慢性的な異常が、角膜内皮疾患ではあることが示唆された。

ID情報
  • 課題番号 : 20K21663