共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2020年3月

精密反応場を利用したチェーンウォーキングを経る不活性炭素-水素結合の不斉官能基化

文部科学省・日本学術振興会  科学研究費助成事業  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
18H04271
体系的課題番号
JP18H04271
担当区分
研究代表者
資金種別
競争的資金

最近我々は、パラジウム触媒を用いた1,n-ジエン類のヒドロシリル化環化反応により、シリルアルキル基をもつ五員環生成物が得られることを見出している。本反応においてはチェーンウォーキングという反応点を遠隔位に選択的に移動させられる過程を組み込むことで、一つの触媒サイクルにおいて離れた位置で連続的に結合形成を行うことに成功している。そこで、本反応においても光学活性配位子を利用することで、不斉触媒反応へと展開できるのではないかと考え、三置換アルケン部位と末端アルケン部位を併せもつ1,8-ジエンについて不斉ヒドロシリル化環化反応を検討した。この基質のヒドロシリル化環化反応は光学活性でない配位子を用いた場合にも収率45%でしか目的物を得られていなかったが、含窒素光学活性二座配位子を用いた場合には収率の更なる低下が見られた。室温条件ではごく少量しか目的物は得られなかったが、反応温度を60度以上にすると収率は15%まで向上した。ヒドロシランの当量を減らすと環化せずにヒドロシリル化のみが起こった副生成物の生成は抑制できた一方、目的物の収率は同程度であった。また、ヒドロシランの当量を増やした場合には、副生成物の生成が促進され、目的物の収率の低下が見られた。さらに、溶媒量の検討を行ったが、収率の向上には至らなかった。これらの検討において、ヒドロシリル化環化生成物のエナンチオマー過剰率はほぼ73%程度で大きな変化は見られなかった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-18H04271
ID情報
  • 課題番号 : 18H04271
  • 体系的課題番号 : JP18H04271