2007年 - 2009年
情報土壌学の構築とその応用
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
今年度までに展開してきた研究を総括し、「情報土壌学」という新しい学域の基本的成り立ちの骨格を与えるとともに、さまざまな領域においてその展開の具体的な形を示してきた。
まず、予め設定(想定)された命題群の真・偽や成立・不成立を判定するという二分法をベースとして、想定内での状況の絞り込みの手がかりとしての情報の在り方、すなわち、シャノン流の情報概念とは異なり、第二の情報の在り方として、想定外の事象生起に対して新たな包括的な視点を導入しつつ諸事象包摂し、それらに時空の秩序を与えるような働きをする情報概念を提案した。前者が部分や要素への「分化・排除」を指向する働きであるのに対し、後者は全体への「統合・包摂」を指向するものであり、互いに相補的な情報の働きということができる。
情報土壌学では、主として後者のような情報を扱う枠組みとして、記号論・論理学の始祖の一人とされるパースによる述語論理式の表現である存在グラフに加えて、離散事象システムの事象推移表現であるペトリネット(発生ネット)を併合した新たな数学的表現形式を導入して、この包摂的情報の働きを表現し、解析する枠組み構築した。これは、ライプニッツの提唱した時空概念に即して情報群と人間集団や社会との連関構造を捉えるものであり、社会秩序や風土の成り立ちと包摂的な情報の働きの接点を解明する手掛かりを成すものである。その上に立って、倫理の問題やケアの世界における共感的・共存在的・即興的なコミュニケーションの在り方をライプニッツ時空の共生成という立場から明らかにするとともに、人工物の創造的なデザインやその使用における人工物との関係性やインタラクションの働き、とりわけ不便さや制約の効用などについて新たな解明と提案を行った。また、包摂的な情報と社会集団の形成のようなグループダイナミックスの連関の深層構造についての解明を行い、この情報土壌学の視点の有用性を明らかにした。
まず、予め設定(想定)された命題群の真・偽や成立・不成立を判定するという二分法をベースとして、想定内での状況の絞り込みの手がかりとしての情報の在り方、すなわち、シャノン流の情報概念とは異なり、第二の情報の在り方として、想定外の事象生起に対して新たな包括的な視点を導入しつつ諸事象包摂し、それらに時空の秩序を与えるような働きをする情報概念を提案した。前者が部分や要素への「分化・排除」を指向する働きであるのに対し、後者は全体への「統合・包摂」を指向するものであり、互いに相補的な情報の働きということができる。
情報土壌学では、主として後者のような情報を扱う枠組みとして、記号論・論理学の始祖の一人とされるパースによる述語論理式の表現である存在グラフに加えて、離散事象システムの事象推移表現であるペトリネット(発生ネット)を併合した新たな数学的表現形式を導入して、この包摂的情報の働きを表現し、解析する枠組み構築した。これは、ライプニッツの提唱した時空概念に即して情報群と人間集団や社会との連関構造を捉えるものであり、社会秩序や風土の成り立ちと包摂的な情報の働きの接点を解明する手掛かりを成すものである。その上に立って、倫理の問題やケアの世界における共感的・共存在的・即興的なコミュニケーションの在り方をライプニッツ時空の共生成という立場から明らかにするとともに、人工物の創造的なデザインやその使用における人工物との関係性やインタラクションの働き、とりわけ不便さや制約の効用などについて新たな解明と提案を行った。また、包摂的な情報と社会集団の形成のようなグループダイナミックスの連関の深層構造についての解明を行い、この情報土壌学の視点の有用性を明らかにした。
- ID情報
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- 課題番号 : 19650050
- 体系的課題番号 : JP19650050