共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

非金銭的インセンティブによる地域課題解決のためのシステムデザインの検証

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

課題番号
21K12554
体系的課題番号
JP21K12554
配分額
(総額)
3,640,000円
(直接経費)
2,800,000円
(間接経費)
840,000円

本研究はゲームへの参加継続手段としての「寄付」に着目し、住民の日常行動をポイント化し、ポイントが価値交換機能を持たなくても地域課題の解決に有用なゲーミフィケーションデザインとなるかを検証することを目的としている。
先行研究から被験者のタイプによって期待行動をとるメカニズムが異なることが明らかとなっているため、2021年度前半に被験者のSense of Coherenceを調査した。調査結果から被験者全体では全国平均よりも問題解決が可能と考え、解決困難であっても後悔しないタイプが多く、各地域において、とりわけ積極的な人物の存在が明らかとなった。
次に2021年後半に京都府宇治市と秋田県能代市で既開発の独自アプリを使ってフィールド実験を実施した。第1の仮説として、経済的価値がないポイントであっても、非匿名で個人間のつながりを可視化することで互酬性動機が働き、コミュニケーションを活性化できるかについて、社会ネットワーク分析を用いて検討した。分析の結果、実験開始からの時間経過に伴い、互酬性動機によるポイント贈与は減少してしまうこと、ポイントの価値づけを参加者に委ねてしまうとポイント獲得や保有の効用が不明確となり、ポイント贈与機能は利用されなくなることが明らかになった。このため、ポイントになんらかの経済的な価値を付与し、交換レートを明示するか、ポイントに経済的な価値を付与しないのであれば、ポイントから得られる非経済的な価値を定義して参加者が効用を得られるようにした上で、ポイント贈与システムを匿名化かつ簡便にし、フィードバックが得られるようにすることが必要と考えられる。ただし、Sense of Coherence調査の結果から、地域活動の参加者にもさまざまタイプがいることが明らかにであるため、非経済的な価値を提示する際には、多様性の考慮が必要と考えられる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K12554
ID情報
  • 課題番号 : 21K12554
  • 体系的課題番号 : JP21K12554

この研究課題の成果一覧

論文

  5

講演・口頭発表等

  15