2020年4月 - 2023年3月
刑事憲法学の手法を用いた刑事立法分析枠組の構築に関する比較法的研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本研究課題は、刑事立法の活性化状況の中でのあるべき刑事立法分析枠組の構築という目標の下、立法者を直接拘束することができ、かつ、憲法訴訟の場において適用可能な立法分析枠組の構築を目指すものである。その際に、ドイツにおける刑事憲法学の手法を用いる点に特色がある。令和3年度においては、1) ドイツにおける刑事憲法学の基礎文献の翻訳、2) 刑法基礎理論、特に規範論の観点から見た刑事立法分析と刑事憲法学の理論的関係、3) 責任主義の憲法的地位に関するドイツの文献調査、4) 刑事憲法学の手法を用いた日本の罪数規定(刑法54条)の立法のあり方についての研究を実施した。
1) については、ドイツにおいて刑事憲法学の議論に大きな影響を与えているKlaus Ferdinand Gaerditz(aeはaのウムラウト)の論文(JZ 2016, 641)の全訳を行った。同論文は令和4年度中にオープンアクセスにて公表される。
2) については、ドイツの規範論の日本刑法学への影響を分析し、規範論の整理・精緻化作業を行った上で、それが立法分析に対して持つ含意を分析した。そこから、行為規範と制裁規範を区別し、それぞれについて憲法適合性の判断を行うという立法分析の暫定的モデルを構築した。このモデルの妥当性検証は令和4年度以降の課題である。
3)については、令和2年度に行ったドイツの判例分析の継続課題である。実際にドイツ憲法理論において、ドイツの責任主義の判例がどのような理論枠組みに基づいて正当化されると考えられているのかについての分析を行った。その具体的内容については、令和4年度中に論文として公表する予定である。
4) については、日本刑法54条を削除することは憲法違反になりうるとの主張を受けて、その指摘は刑事憲法学の観点からは妥当とは言えないとする分析結果を示した。
1) については、ドイツにおいて刑事憲法学の議論に大きな影響を与えているKlaus Ferdinand Gaerditz(aeはaのウムラウト)の論文(JZ 2016, 641)の全訳を行った。同論文は令和4年度中にオープンアクセスにて公表される。
2) については、ドイツの規範論の日本刑法学への影響を分析し、規範論の整理・精緻化作業を行った上で、それが立法分析に対して持つ含意を分析した。そこから、行為規範と制裁規範を区別し、それぞれについて憲法適合性の判断を行うという立法分析の暫定的モデルを構築した。このモデルの妥当性検証は令和4年度以降の課題である。
3)については、令和2年度に行ったドイツの判例分析の継続課題である。実際にドイツ憲法理論において、ドイツの責任主義の判例がどのような理論枠組みに基づいて正当化されると考えられているのかについての分析を行った。その具体的内容については、令和4年度中に論文として公表する予定である。
4) については、日本刑法54条を削除することは憲法違反になりうるとの主張を受けて、その指摘は刑事憲法学の観点からは妥当とは言えないとする分析結果を示した。
- ID情報
-
- 課題番号 : 20K01357
- 体系的課題番号 : JP20K01357
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
3-
山口厚=松原芳博=上嶌一高=中空壽雅編『実務と理論の架橋:刑事法学の実践的課題に向けて』 551-573 2023年2月 招待有り筆頭著者
-
山口厚=井田良=佐伯仁志=松原芳博=仲道祐樹編『高橋則夫先生古稀祝賀論文集上巻』 111-136 2022年3月 招待有り
-
山口厚=酒巻匡=大澤裕=川出敏裕編『寺崎嘉博先生古稀祝賀論文集〔上巻〕』(成文堂、2021年) 307-331 2021年12月 招待有り
MISC
3-
判例時報 (2550) 114-115 2023年5月 招待有り筆頭著者
-
刑法雑誌 61(3) 551-556 2022年11月
-
比較法学 56(1) 235-262 2022年6月
講演・口頭発表等
3-
Konstanzer Seminar für Rechtsentwicklung 2022年11月10日 招待有り
-
第1回中徳日刑事法論壇 2022年9月24日 招待有り
-
日本刑法学会第99回大会 2021年5月30日