共同研究・競争的資金等の研究課題

2002年7月 - 2003年6月

モンゴル帝国時代における財務官僚と国際貿易商人の活動に関する基礎的研究

民間学術研究振興費補助金  

資金種別
競争的資金

元朝とイランのイルハン朝の交渉において、 (1) 商人の召募・斡旋およびそれらの商人との関係保持の役割を果たした財務官僚、 (2) 両国の国交・通商に加担した国際貿易商人がそれぞれいかなる形で両国の国交・通商に関わり、いかなる役割を果たしたのかを分析するそのために、まず、元朝・イルハン朝の使節派遣・受入の記録を、この時代のモンゴルに関する二大史料群である漢語・ペルシア語史料から抽出して比較対照する。特に、難解な文体から従来は敬遠されがちであった『ワッサーフ史』Tārikh-i Wassāfや『集史』Jāmi‘ al- Tawārīkhなどペルシア語史料に見える各政権の属僚集団の記述や漢語文集史料に収録される墓碑銘などを参照し、派遣使節の経歴・家系、各政権における立場を確認する。もうひとつ、考察の対象となるのが国際貿易商人の動向である。漢語・ペルシア語史料やイタリア語公証人文書、モンゴル語・ラテン語などのモンゴル・ヨーロッパ外交文書などから、インド洋世界やユーラシア大陸規模で活動したイスラーム・ウイグル系商人、イラン周辺で活動したヴェネツィア・ジェノヴァ商人の活動を考察することにより、アジアとイスラム・ヨーロッパ世界を結んだ国際貿易商人の性質と活動およびモンゴル政権との関わりを明らかにする。