2020年4月 - 2024年3月
中世における漢字表記文及び片仮名表記文の表記体混淆文についての基礎的研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
漢字文と漢字片仮名交じり文との表記体混淆文について研究するための基礎資料として、内閣文庫蔵『聖徳太子伝宝物集』の本文データ作成に取り組んだ。本データは、研究開始当初は研究期間の初期に完成の予定であったが、外字入力に予想外に時間が掛かった上、新型コロナウイルス感染拡大により長距離の移動が制限されたために片仮名小書きの確認作業が滞り、進捗が遅延することとなった。しかし2022年度には2回対面による確認作業を実施することができ、丁行付きのテキストデータを完成させることができた。また、原本調査を1回行うことができた。研究成果の公表としては、『中世真名軍記の研究』(汲古書院、2022年11月)を公刊した。本書には既発表論文である「中世真名軍記における助動詞「ケリ」の用字について」(『国文学攷』第250号,2021年6月)を収録している。これは、中世における漢字文(特に真名本)の一特質について言及したもので表記体混淆文における漢字片仮名交じり文の漢字文への影響を考えるための手がかりとなるのではないかと考えている。同書の結章第二節「中世の漢字と訓」において内閣文庫蔵『聖徳太子伝宝物集』にみられる「既」字訓「カクテ」についての考察を書き下ろしとして掲載した。中世の古辞書においては、「既」字は「スデニ」訓と結びついており「カクテ」との関係は指摘できない。漢字片仮名交じり文及び漢字文の用字を検討する上で、中世にあってはこのような漢字と訓との結びつきについても踏まえておかなければならないことを指摘したものである。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K00653
- 体系的課題番号 : JP20K00653
この研究課題の成果一覧
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論文
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国語と国文学 101(3) 38-50 2024年2月 招待有り
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日本語・日本文化研究:日本語・日本文化国際討論会論文集 (3) 63-72 2023年3月
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令和三年度高山寺典籍文書綜合調査団研究報告論集 81-85 2022年3月
講演・口頭発表等
2-
新潟大学言語研究会 2024年3月27日
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令和五年度新潟県ことばの会研究集会 2024年2月10日