2021年4月 - 2024年3月
血管新生因子をターゲットとした癌細胞特異的蛍光プローブの開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本研究では,血管新生因子であるチミジンホスホリラーゼの酵素活性に応じて蛍光応答する診断薬を開発し,血管新生病(癌)の早期発見と病原部の可視化を行うことを目的としている。
2021年度は,チミジンホスホリラーゼの基質であるチミジンを化学的に変換することで,塩基部位が蛍光基になっている化合物の合成を2種類合成した。
一つは二環式のピロールピリミジンであり,5-ヨードデオキシウリジンとトリメチルシリルアセチレン(その他誘導体も)を園頭反応にてクロスカップリングを行った。次に,カップリング生成物のトリメチルシリル基を炭酸ナトリウムにて脱保護し,アルカリ性条件下で4位酸素原子と5位エチニル基を環化させることで,二環式のピロールピリミジンを合成した。本化合物はNMRにて構造を確認し,紫色の蛍光を示すことを蛍光分光光度計で確認した。
もう一つの化合物は,塩基部位としては全くの非天然塩基である,ナフトイミダゾールを二段階で有機合成した。ナフトイミダゾールをリボースの塩基部位に導入するために,酵素合成実験を行った。ナフトイミダゾールとチミジンをリン酸緩衝液(120 % DMSO)に溶解し,ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ(PyNP)を加えて40℃に保ち,反応を実施した。その結果,ナフトイミダゾールは5時間で95%以上の反応転換率を示した。
チミジンホスホリラーゼより基質特異性が広い,ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼを用いて,ヌクレオシド構造の認識部位を調査した。塩基部位はピリミジン構造のみならず,ベンゾイミダオールも反応し,非天然ヌクレオシドを合成できることがわかった。また,リボース構造は5'位水酸基は必要なく,3'水酸基が基質認識に重要な働きをしていることがわかった。
2021年度は,チミジンホスホリラーゼの基質であるチミジンを化学的に変換することで,塩基部位が蛍光基になっている化合物の合成を2種類合成した。
一つは二環式のピロールピリミジンであり,5-ヨードデオキシウリジンとトリメチルシリルアセチレン(その他誘導体も)を園頭反応にてクロスカップリングを行った。次に,カップリング生成物のトリメチルシリル基を炭酸ナトリウムにて脱保護し,アルカリ性条件下で4位酸素原子と5位エチニル基を環化させることで,二環式のピロールピリミジンを合成した。本化合物はNMRにて構造を確認し,紫色の蛍光を示すことを蛍光分光光度計で確認した。
もう一つの化合物は,塩基部位としては全くの非天然塩基である,ナフトイミダゾールを二段階で有機合成した。ナフトイミダゾールをリボースの塩基部位に導入するために,酵素合成実験を行った。ナフトイミダゾールとチミジンをリン酸緩衝液(120 % DMSO)に溶解し,ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ(PyNP)を加えて40℃に保ち,反応を実施した。その結果,ナフトイミダゾールは5時間で95%以上の反応転換率を示した。
チミジンホスホリラーゼより基質特異性が広い,ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼを用いて,ヌクレオシド構造の認識部位を調査した。塩基部位はピリミジン構造のみならず,ベンゾイミダオールも反応し,非天然ヌクレオシドを合成できることがわかった。また,リボース構造は5'位水酸基は必要なく,3'水酸基が基質認識に重要な働きをしていることがわかった。
- ID情報
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- 課題番号 : 21K05315
- 体系的課題番号 : JP21K05315
この研究課題の成果一覧
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論文
1-
Bioorganic & Medicinal Chemistry (91) 117411-117411 2023年7月 査読有り筆頭著者