共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

延性向上を目指した析出制御メタラジー:コア-シェル構造粒子分散強化鋼の創製と評価

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
17H01333
体系的課題番号
JP17H01333
配分額
(総額)
37,180,000円
(直接経費)
28,600,000円
(間接経費)
8,580,000円

(1)Type I、IIおよびIII合金の創製
Type I:VC炭化物を起点(コア)にCuをIn-situ析出させる(シェル)ことで得られる複合析出物について、STEM-EDSで組織の確認を行った。その結果、冷却速度が空冷程度の速い場合はCuのSeparate 析出による微細分散が生じて材料強度が増大するが、炉冷程度の遅い冷却速度の場合はCuのVC上へのIn-situ析出が生じ、高延性が得られることが明らかとなった。Type II:M23C6型炭化物が分散したフェライト鋼(焼戻しマルテンサイト)を高周波加熱で短時間焼鈍することで、炭化物を残留オーステナイトが取り囲む形態のコアーシェル構造粒子が形成されることを確認した。本材料は耐摩耗性には優れるが、炭素濃度が高いため引張り延性に乏しい。低炭素濃度の鋼で同様の処理を試みること、またFe-Mn-C系合金でも同様の組織制御を行うことを予定している。Type III:Ms点以下Mf点以上の温度に部分焼入れしたFe-Mn-C合金を二相域焼鈍することで、コア部がマルテンサイト、シェル部がオーステナイトのコアーシェル構造組織を形成させることに成功した。さらに、部分焼入れ温度や二相域焼鈍時間を種々変化させ、コア部のサイズやシェル部の厚さを制御する手法を確立した。その機械的性質についても調査し、国際会議で二回の発表を行っている。
(2)その場中性子回折
上記3タイプのうち、Type IIIについて中性子その場引張り試験用の試料を既に作製済みであり、近日中に実験を行う手はずが整っている。
(3)結晶塑性解析(FEM) コア-シェル構造粒子の不均一な変形挙動を有限要素法を用いた結晶塑性プログラムで解析し、粒子内外のひずみや転位の分布を予測した。さらに得られた結果から材料の加工硬化特性ならびに延性破壊の関係について考察した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17H01333
ID情報
  • 課題番号 : 17H01333
  • 体系的課題番号 : JP17H01333