共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

物質拡散による応力形成プロセスのその場観測技術の開発とそのメカニズムの解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K04785
体系的課題番号
JP18K04785
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

2019年度は、昨年度に引き続き、大型放射光施設で実施する回折実験のための最適な窒化処理条件の確立と、放射光単色・白色X線回折によるその場測定を用いた材料表面と内部のX線的弾性定数を決定することを目標とした。前者は限られたマシンタイムの中で最大限の成果を得るために必要な準備であり、後者は過去の文献値を用いることが多いが、実際は微量な化学組成の違いや、前加工の違いによる試料誤差が重畳するため、応力値を正確に求めるためには、同一試料の測定が必要である。
窒素拡散による応力形成プロセスを観測するための最適な窒化処理条件は、窒化物の析出しない窒化層を得ることであり、低温かつ低窒素濃度で長時間、加熱する必要があることがわかった。そこで、表面改質処理プロセス中放射光その場観測の条件は加熱温度1173K、窒素濃度100%、加熱時間2.5hに決定した。
放射光単色・白色X線回折によるその場測定は、大型放射光施設SPring-8の共用ビームラインBL08Wと量研機構専用ビームラインBL14B1で実施した。各ビームラインの試料ステージに小型引張試験機を設置して、引張試験と放射光回折測定を同時に行うことで、材料表面および内部における弾性領域の格子ひずみを同一試料から取得することができる。その結果、材料表面の窒化層と内部の基地層、それぞれのX線的弾性定数の決定に成功した。また、この結果の妥当性を確認するために、ラボX線応力測定装置を用いたその場測定により検討した結果、材料表面のみであるが、放射光X線回折によるその場測定の結果と良い傾向の一致を示した。これらの結果を基にして、2020年度は、表面改質処理プロセス中放射光その場観測を実施し、窒化処理による応力形成メカニズムの解明に取り組む。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K04785
ID情報
  • 課題番号 : 18K04785
  • 体系的課題番号 : JP18K04785