共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2023年3月

「17-19世紀イギリス東インド会社の在インド商館における会計実務の解明」

日本学術振興会  基盤研究(C)代表者  基盤研究(C)

課題番号
17K04082
体系的課題番号
JP17K04082
担当区分
研究代表者
資金種別
その他

当該年度では研究成果として論文1本(2021年6月:単著)を刊行するとともに,学会報告1回(2021年10月:単独)を実施した。これらは昨年度(2020年度)に実施してきた研究活動などにも基づいている。
具体的には,本テーマであるイギリス東インド会社のインド在外商館とロンドン本社における会計の仕組みとの関係をとらえる上で,重要と考えられる取引の1つが,商品の輸出入に携わる関係者による私貿易であるため,会社による私貿易の管理と本社に導入された複式簿記の観点から分析を続けてきた。特に,同社私貿易を取り上げた先行研究において採用されているエージェンシー理論のフレームワークを参考にしながら,東インド会社による私貿易管理のためのインセンティブと罰則(ペナルティ),そしてモニタリング(監視の仕組み・複式簿記に基づく帳簿記録)について検討している。
一連の研究を通して私貿易に従事した主たるエージェントである船舶所有者には,会社理事会メンバーも含まれていたことを明らかにした。これは,プリンシパルとして考えられた会社理事会メンバーの中には,私貿易に従事したエージェントという側面を持った理事も含まれていることを示しており,複雑な利害関係の構造が会社理事会,つまりプリンシパル側にも見て取れたことを意味した。
他方,研究材料となる東インド会社関連の史料(複写データ)の入手も再開することができている。2020年度の大半は,史料が収められている大英図書館もイギリスのロックダウンに伴い,複写サービス等を何度か停止していたが,2021年には再開されている。これらの史料の入手作業を進めたとともに,史料批判などの考察にも注力しながら,東インド会社の本社,海外商館における取引,特に上述したような私貿易の管理の観点から会計の仕組みに関して,分析を進めているところである。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K04082
ID情報
  • 課題番号 : 17K04082
  • 体系的課題番号 : JP17K04082