2012年5月
家系に複数の脾臓摘出者を認め遺伝性球状赤血球症と考えられていたHb Koeln症の一例
日本小児血液・がん学会雑誌
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- 巻
- 49
- 号
- 1-2
- 開始ページ
- 138
- 終了ページ
- 141
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)日本小児血液・がん学会
先天性溶血性貧血の異常部位には赤血球膜、赤血球酵素、ヘモグロビンが知られている。遺伝性球状赤血球症(HS)は赤血球膜の異常に起因し、日本で最も高頻度の先天性溶血性貧血である。溶血性貧血を呈し、HSに矛盾しない背景を持つ場合では、他の稀な溶血性貧血が見逃される可能性も考えられる。Hb Koeln症はヘモグロビン異常症の一型で、稀な疾患である。今回、我々は複数の脾臓摘出者を認め、HSと考えられていた12歳男児のHb Koeln症を経験した。平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)は28.7%と低値、平時のSpO2は90%程と低値(高濃度酸素投与で92%)、HbA1cは2.0%と異常低値であった。これらの一般検査所見がHSとは矛盾したため、ヘモグロビン異常症を疑い精査を進めた。先天性溶血性貧血のような稀な疾患でも、日常的な検査の吟味が診断に重要と考えられた。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 2187-011X
- eISSN : 2189-5384
- 医中誌Web ID : 2013067466