論文

査読有り
2013年

Relationship between fruit ripening and avian fruit removal in Prunus jamasakura

Wildlife and Human Society
  • Sakurai Reika
  • ,
  • Tokita Norio
  • ,
  • Furubayashi Kengo

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開始ページ
21
終了ページ
28
記述言語
英語
掲載種別
出版者・発行元
「野生生物と社会」学会

ヤマザクラPrunus jamasakuraの結実期に,果実の色彩と栄養価そして鳥類による果実の持ち去りとの関係について調べた.果実の成熟過程は,果実の色によって,緑,赤緑,赤,黒の4段階に分けた.鳥類が持ち去った果実は,主に赤い果実と黒い果実であり,鳥類は特に黒い果実を選ぶ傾向がみられた.緑と赤緑の果実は赤や黒の果実よりも小さく,糖成分(フルクトース,グルコース,スクロース)の含有量とエネルギー量が少なかった.赤い果実と黒い果実を比較すると,大きさに差はないが,糖含有量とエネルギー量に差がみられた.黒い果実は,赤い果実よりも糖含有量がおよそ4.6%,エネルギー量がおよそ0.4kJ多かった.果実の持ち去りは主にムクドリSturnus cineraceusとヒヨドリHypsipetes amaurotisによるものであり,この2種では飛来のパターンが異なっていた.ムクドリの飛来数はヤマザクラの結実期間中に変動し,ヤマザクラの樹上に赤と黒の果実が同時についている時期(二色の果実表示期間)に増えた.一方,ヒヨドリの飛来数には変動がみられなかった.これらの結果は,ヤマザクラが二色の果実表示によって鳥類の一部の種をひきつけていること,そして,熟果に糖を蓄積することでエサとしての価値を高め,飛来した鳥に熟果を持ち去らせていることを示唆するものである.

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http://ci.nii.ac.jp/naid/110009815584
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  • CiNii Articles ID : 110009815584
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