2019年4月29日
勤務医の社会的使命と過重労働・ワークライフバランス
第30回日本医学会総会
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
- 主催者
- 日本医学会
- 開催地
- 愛知県名古屋市
今回の働き方改革は残業時間数に年間720時間(月平均60時間)という上限を設ける一方、特別条項によって繁忙期に80時間ないし100時間未満の残業時間を認めている。このことは、他の月の残業時間を60時間未満に抑える必要を意味し、従って年間の労働時間の変動を大きくなることに帰結する。疫学研究(BMJ1998 Sokejima)によれば、月間の残業時間が60時間を超えると残業がない場合に比べて急性心筋梗塞発症リスクが2倍以上になるが、一方で一日当たり平均労働時間の増加が年間2時間を超えるとやはり発症リスクが2倍以上になることが示唆されている。労働時間の長さだけでなくその変動も抑制する必要もあるかもしれない。労働時間のあり方と医師を含む国民の健康水準や生活との関係について、さらなる議論と公共政策的決断が必要である。