2014年11月
MR検査業務従事者の職業ばく露磁界の測定と作業内容との関連性
労働安全衛生総合研究所特別研究報告
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- 巻
- 号
- 44
- 開始ページ
- 47
- 終了ページ
- 54
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (独)労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所
磁気共鳴画像検査(Magnetic Resonance Imaging:MRI,MR検査)は、地磁気の数万倍に相当する数テスラの静磁界を利用した画像診断手法であるが,MR検査業務従事者(主にMR検査担当の診療放射線技師)の漏洩磁界へのばく露が問題とされている.MR検査時の漏洩磁界ばく露は,めまい,吐き気等の一過性の症状を生じさせることが報告されているが,その労働衛生対策は確立していない.そこで筆者らは,MR検査業務従事者の労働衛生対策の第一歩として,MR検査業務従事者の職業磁界ばく露の実態調査を行った.診療上最も標準的なMR装置である1.5T装置と,高性能機である3T装置のMR検査業務従事者のばく露磁界を測定した結果,1.5T装置では最大ばく露磁界(Bmax)が70-427mT,その平均(Average Bmax)が132±37mTであり,3T装置ではBmaxが最大1250mT,Average Bmaxが428±231mTであった.漏洩磁界測定結果からは,1.5T装置はMR装置本体に付属のパネル操作部位が最も高く(645±2mT),3T装置においては,操作部位でなく装置近傍で強い磁界勾配が観察された.作業内容とばく露磁界の関連性について検討を行った結果,特に3T装置では,作業場所が最もMR装置に近くなる頭部MR検査において他の作業内容と比較して有意に高いAverage Bmaxが観察された(p<0.05 v.s. 患者誘導,p<0.01 v.s. その他).これらのことから,装置近傍の磁界勾配が大きく,MR検査業務従事者のわずかな体動変化で高磁界ばく露の可能性が高まる3T装置においては,特に頭部MR検査時に一過性症状が生じないよう,ゆっくり動く等の動作コントロールが必要であると考えられる.(著者抄録)
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 1882-8329
- 医中誌Web ID : 2015137222
- J-Global ID : 201402222020095304