共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年6月 - 2022年3月

分泌性病原因子を用いた新規魚類寄生虫ワクチンの開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)  挑戦的研究(萌芽)

課題番号
19K22336
体系的課題番号
JP19K22336
配分額
(総額)
6,500,000円
(直接経費)
5,000,000円
(間接経費)
1,500,000円

スクーチカ症は海産繊毛虫Miamiensis avidusを病原体とする魚類寄生虫病の一つで、養殖魚や水族館で飼育されている観賞魚に甚大な被害を及ぼしている。有力な感染症対策としてワクチンがあるが、魚類の寄生虫病に対するワクチンは一つも商品化されていない。その理由として、多くの寄生虫には生活史が存在し、抗原性が変化すること、培養が困難であること、ゲノム情報が少なく組換えワクチンの開発が困難であることが挙げられる。これまでに申請者らは、本虫の細胞外プロテアーゼ(ECPs)が細胞を溶解することを見いだし、病原性因子の一つであることを明らかにした。このことから、分泌性の病原性因子を抗原とした ワクチンが開発できるのではないかという着想に至った。本課題ではゲノム編集技術を応用し、病原性因子であるプロテアーゼ遺伝子を特定し、それを用いた世界初の魚類寄生虫のワクチンを開発することを目的としている。
昨年度は、新型コロナウイルスの感染拡大のため、学外で行う予定であったゲノム編集実験を行えなかった。そこで予定を変更して、これまでに行ったゲノム解析結果と参考文献から、病原性因子となり得るプロテアーゼを絞り込み、無細胞タンパク質合成系で大量発現を行った。これを免疫したヒラメから血清分離を行い、不動化アッセイしたところ、血清型に関わらず、M. avidusを不動化することが明らかにされた。
一方、ゲノム編集実験に関しては本実験に不可欠なプロモーターを決定するために、哺乳類用のプロモーター遺伝子、M. avidusと同じ繊毛虫であるテトラヒメナのプロモーター遺伝子、M. avidusのβ-アクチンタンパク質のプロモーター遺伝子を導入したものの、下流のGFPを発現するには至らなかった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K22336
ID情報
  • 課題番号 : 19K22336
  • 体系的課題番号 : JP19K22336