2009年 - 2010年
20世紀西洋精神医療の転回-「地域精神医療」の政治経済的意義
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
本研究は、20世紀中葉のイングランド精神医療における「地域医療」及び「脱施設化」を検討することを目的とし、研究活動を進めてきた。平成22年度においては、4月以降、国内での文献の収集と読解、論文の執筆を中心に研究を実施した。平成21年度に学術雑誌に投稿し、審査結果が得られた論文「第一次世界大戦期イギリスにおける戦争神経症」については、修正の上、7月に再投稿した。前年度二度にわたって実施した英国ロンドンでの現地史料調査(平成21年8月29日から9月12日、平成22年2月28日から3月17日)において、国立公文書館(National Archives)、ウェルカム財団医学史図書館(Wellcome Trust Library for Understanding Medicine)、大英図書館(British Library)で入手した史料を用いて数点の論考を準備した。その結果、査読論文「戦争神経症と戦争責任-第一次世界大戦期及び戦間期英国を事例として」が『戦争責任研究』から刊行され、査読論文「精神医療専門職の再検討-20世紀初頭イングランドにおける精神科医の職業構造を中心に-」が『精神医学史研究』にて平成23年度に掲載決定、査読論文「精神衛生思想の構築-二〇世紀初頭イングランドにおける早期治療言説と専門家利害-」が『史学雑誌』にて平成23年度に掲載決定となった。上記のように、平成22年度においては、主として研究成果の公表作業を進めることを主眼として、執筆活動を中心に行い、重要な成果を得た。
- ID情報
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- 課題番号 : 09J07599
- 体系的課題番号 : JP09J07599