論文

2007年6月

末期口腔癌患者の褥瘡に対してチーム医療で取り組んだ1症例

岡山歯学会雑誌
  • 梅原 亜矢子
  • ,
  • 中山 周子
  • ,
  • 塚本 剛一
  • ,
  • 矢尾 真弓
  • ,
  • 伊原木 聰一郎
  • ,
  • 岸本 晃治
  • ,
  • 目瀬 浩
  • ,
  • 佐々木 朗

26
1
開始ページ
37
終了ページ
40
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
岡山歯学会

63歳男。扁平上皮癌であり、舌部分切除及び右側根治的頸部郭清術変法を施行した。局所再発に対しサイバー・ナイフによる放射線治療、肺転移に対して化学療法を施行したが、両部位とも制御不能となった。その後、嚥下障害が著明になり、気管切開及び胃瘻造設術を施行した。以後、自宅療養を続けていたが、全身倦怠感及び呼吸困難が増強し再入院となった。栄養摂取は胃瘻からのみで、総タンパク6.7g/dl、アルブミン3.2g/dlであった。常に左側側臥位をとっていたため、左側大転子部、左側肩部、仙骨部の皮膚に褥瘡を認めた。左側肩部、仙骨部の褥瘡はハイドロコロイド創傷被覆材での治療で良好な結果が得られたが、左側大転子部の褥瘡は重度で表面に壊死組織がみられ、日本褥瘡学会褥瘡分類D3E3s4ilG3N1-P1と評価し、本院褥瘡対策チームに診察を依頼した。生食洗浄、壊死組織除去、2時間毎の体位変換、体圧分散式マットレスへの変更、ポケット内の陰圧持続吸引、栄養サポートチームによる栄養対策などを行ったところ、褥瘡部の肉芽形成は進み、少しずつポケットは改善していった。肉芽組織の形成は良好で、右側顎下部皮膚穿孔部からの出血による循環不全にて死亡する一週間前には、皮膚損傷範囲は入院時の7.0cm×6.0cmから3.0cm×1.6cmへと改善していた。

ID情報
  • ISSN : 0913-3941
  • 医中誌Web ID : 2007305710

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