2019年4月 - 2022年3月
HER2陽性胃癌における遺伝子異常の包括的評価と臨床的意義の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本研究の目的は、「胃癌における癌遺伝子解析パネルを用いたERBB2 遺伝子異常評価の精度、および併存する遺伝子異常の臨床的意義を明らかにすることで、抗HER2療法を基軸とした胃癌薬物治療発展への足がかりとすること」である。本年度は、癌遺伝子パネルによるERBB2増幅とHER2発現の関係を明らかにすることを目的に実験を行った。胃癌切除検体130例の原発巣におけるHER2発現を臨床検査(HER2検査)に準じて免疫組織化学(IHC)やFISHで評価した。IHCにはヒストファイン HER2キット(MONO)ユニバーサルキット(ニチレイバイオサイエンス)を、FISHにはパスビジョンHER-2 DNAプローブキット(PathVysion;Abbott Molecular)用いた。IHCで3+、またはIHC2+でFISH陽性(HER2/CEP17比≧2.0)をHER2陽性と定義した。同一症例のERBB2増幅を癌遺伝子パネルで解析し、コピー数≧2.5倍を増幅と定義した。全例でIHCやFISHと癌遺伝子パネルは同一のホルマリン固定後パラフィン包埋(FFPE)ブロックを用いた。35例は癌遺伝子パネルとは異なるFFPEブロックを用いたHER2検査も臨床的に行われていた。
130例中HER2陽性は16例(12.3%)であった。また、ERBB2増幅は11例(8.5%)に認められた。10例はHER2陽性かつERBB2増幅、113例はHER2陰性かつERBB2非増幅であり、HER2検査としての癌遺伝子パネルの精度は94.6%であった。癌遺伝子パネルに用いたFFPEブロックと異なる検体を用いたHER2検査の結果を検討したところ、癌遺伝子パネルの精度は80.0%と低下した。
癌遺伝子パネルによるHER2検査の精度は高く、胃癌における抗HER2療法適応症例の選択に有用である可能性が示唆された。
130例中HER2陽性は16例(12.3%)であった。また、ERBB2増幅は11例(8.5%)に認められた。10例はHER2陽性かつERBB2増幅、113例はHER2陰性かつERBB2非増幅であり、HER2検査としての癌遺伝子パネルの精度は94.6%であった。癌遺伝子パネルに用いたFFPEブロックと異なる検体を用いたHER2検査の結果を検討したところ、癌遺伝子パネルの精度は80.0%と低下した。
癌遺伝子パネルによるHER2検査の精度は高く、胃癌における抗HER2療法適応症例の選択に有用である可能性が示唆された。
- ID情報
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- 課題番号 : 19K09117
- 体系的課題番号 : JP19K09117