Presentations

Jul 3, 2010

Class practices of a critical consideration of safety net gaps by working

Research abstracts on the annual meeting, regular meeting and seminar of the Japan Association of Home Economics Education
  • MATSUOKA Eriko
  • ,
  • TSUBOUCHI Kyoko
  • ,
  • HUJITA Atsuko
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  • NAKAYAMA Setsuko
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  • WAKATSUKI Atsumi
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  • TOMITA Michiko
  • ,
  • NAKANO Yoko

Language
Japanese
Presentation type
Oral presentation (general)

【目的】 2008年の経済危機を発端とした連鎖的な雇用破壊に伴い、セーフティネットからこぼれ落ちて貧困化する若者が増加した。彼らが貧困に陥った要因は、仕事や福祉の欠如に加え教育、健康、家族、人間関係などの重層的な欠如にある。これまで言われてきた自己責任論からの脱却を図り、安定した暮らしを希求するのは権利であることを認識させることが重要である。本研究では、社会環境の激変に対応した家庭科の生活経営領域のカリキュラム構築を検討することを目的とし、第1報では、授業実践によるセーフティネットの理解の現状と定着について授業分析を中心に報告する。<BR>【方法】 対象校は2校(A校B校)である。A校は神奈川県の単位制総合高校で多様な選択科目が設定されている。対象学年は、高校2年生である。B校は千葉県の私立高校(普通科)であり、約9割が進学、1割が就職する。対象学年は、高校1年生である。最初に、生徒がどの程度セーフティネットを理解しているかについて、労働に関することと社会保険の理解度を測るためのアンケートを行った。次に社会保障ゲームやDVD(2008 NHKスペシャル「セーフティネットクライシス vol1.2」)の教材を使用し生徒の事前、事後学習の成果について考察を行った。<BR>【結果】 アンケート結果では、正社員の長所は「雇用の安定(収入・待遇)」79.0%、「福利厚生面の充実」5.0%、短所は「時間的縛り」42.3%、「責任が重い・人間関係」23.0%、フリーターの長所は「時間の自由である」44.2%、「仕事を自由に選べる」32.8%で、短所は「収入や雇用が不安定」86.4%、「社会保険や保障がない」5%であった。以上のように、働き方と社会保険などを具体的に結びつけた回答は5%程度で、セーフティネットに対する認識の低さが推察された。また、「社会保険」という言葉について「名前だけ知っている」は、A校88.2%、B校76.9%、個別の保険になるとその割合は低くなり、「雇用保険」は、A校77.8%、B校47.1%で、B校は「知らない」と同数であった。全般にA校では、「名前だけ知っている」がB校に比べて多かった。次に、セーフティネットを理解させるために、A校では1)事前アンケート2)生活設計チェック3)社会保険ゲーム4)労働法○×クイズ5)DVD視聴6)解説とまとめ7)事後アンケートという流れで、3時間の授業を試みた。今回は、1)3)5)7)についての結果を報告する。社会保険ゲームを行った感想から、正社員では生活できるが、フリーターでは生活できないということを大半の生徒が再認識したようだ。B校の授業では、社会保険ゲームを実施していない(詳細は次の発表)。そこで、事前アンケート、DVD視聴の反応部分について考察した。<BR> 結果、仕事を失ったときに必要なことは、資格や職業訓練などの「能力的資源」、生活保護やハローワークなどの「社会保障」が一番多く挙げられていた。感想から、B校では、事実をとらえたときの驚き(「3人に1人が非正規労働に驚いた」、「今のうちに知識を蓄えておくべきだ」など)「仕事を得る重要性」「将来に関する記述」などが挙げられていた。A校では、事実をとらえたときの驚きについての記述はなかった。最後に、事後アンケートの結果からは、セーフティネットについて「なんとなくわかった」「何が保障されているのかがわかった」という生徒は同数程度であった。「講義だけよりも興味関心がもてた」などの意見が大半であった。以上のことから、この授業の効果が見られたが、さらに精緻化された内容を検討したい。

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URL
http://ci.nii.ac.jp/naid/130006962310