2018年4月 - 2022年3月
グラフ上の調和解析を用いたグラフのゼータ関数の研究とその応用
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本年度はまず、Lubotzky-Phillips-Sarnak(以後 LPS と略記する)によって得られた Ramanujan グラフの構成方法を Hamilton の四元数環を含むより一般の四元数環の場合に拡張した。今回の方法は、四元数環とその整環ごとにグラフを構成するものであり、特別な場合に上記の LPS Ramanujan グラフ、および Chiu によって構成された cubic Ramanujan グラフを含む。特に、整環として Ibukiyama によって与えられたパラメータ付き極大整環を選ぶことで、パラメタ付きグラフの無限族を得ることができるが、極大整環の類数が 1 のときは、構成方法の類似性からこのグラフが Ramanujan グラフであることを期待している(実際に、数値実験でいくつかの場合に Ramanujan グラフであることを確認済みである)。その証明については完全に細部を埋めることがまだできていないので、残った部分は次年度以降の課題とする。以上は東京大学の Hyungrok Jo 氏と日本大学の杉山真吾氏との共同研究で得られた結果である。
一方で、Euler-Zagier 型多重ゼータ値を組合せ論的視点から拡張した Schur 多重ゼータ値について、ribbon 型という特別な場合にそれが大野関係式を満たすことを明らかにした。鍵となるのは山本積分表示と呼ばれるある種の反復積分表示であることがわかったので、ribbon 型以外のどのような型の Schur 多重ゼータ値が山本積分表示を持つか調べたが、一般には解明には至らなかった。また、双対性や和公式についても数値実験などでいくつか予想を立てることができたので、その証明も含めて次年度以降の課題としたい。
一方で、Euler-Zagier 型多重ゼータ値を組合せ論的視点から拡張した Schur 多重ゼータ値について、ribbon 型という特別な場合にそれが大野関係式を満たすことを明らかにした。鍵となるのは山本積分表示と呼ばれるある種の反復積分表示であることがわかったので、ribbon 型以外のどのような型の Schur 多重ゼータ値が山本積分表示を持つか調べたが、一般には解明には至らなかった。また、双対性や和公式についても数値実験などでいくつか予想を立てることができたので、その証明も含めて次年度以降の課題としたい。
- ID情報
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- 課題番号 : 18K03242
- 体系的課題番号 : JP18K03242