共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

波長依存性光応答性を付与したポリマーによる紙分析チップの流動制御

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H02123
体系的課題番号
JP20H02123
配分額
(総額)
18,070,000円
(直接経費)
13,900,000円
(間接経費)
4,170,000円

本年度は紙分析チップ用バルブ素材となる温度応答性樹脂(NIPAAm: N-イソプロピルアクリルアミド)を均一に多孔質膜内に導入する方法として、プラズマグラフト重合による導入手法を検討した。まずは真空チャンバー内に設置した多孔質膜にアルゴンのRFプラズマを照射し、プラズマ照射後に大気開放することなく脱気したNIPAAm溶液に浸漬することが可能なプラズマグラフト重合装置を構築した。このプラズマグラフト重合装置を用い、NAIPAAm溶液の濃度、浸漬時間の条件検討を行った。作製したPVDF-PNIPAAm膜はSEMを用いた観察や、紙分析チップ内で、温度刺激に対するバルブ特性を評価した。その結果、常温では5分間以上流動を止め、NIPAAmの転移温度である32度以上にすると20秒以内にバルブを開いて流動を開始できる条件を発見した。紙分析チップの分析時間は数分~10分程度なので、今回の性能で十分に対応できると考えられる。作製したPVDF-PNIPAAm膜を常温と40度の水に一晩浸漬し、浸漬した膜を液体窒素で急冷した後に凍結乾燥した状態でSEM観察を行った。その結果、32度以上の高温状態では孔が開いているが常温状態では埋まっている様子が観察できた。すべての孔が完全に埋まっている状態ではなかったが、孔径は小さくなっており、毛細管力で流れる水をせき止めるには十分な孔径の変化が起きているものと考えられる。また、紙分析チップ内の特定の部位への樹脂の塗布や抗体の塗布のためにインクジェット塗布装置を導入した。さらに、紙分析チップにおけるタンパク質の分析に対応するため、バイオマーカーの分析条件の検討も行った。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H02123
ID情報
  • 課題番号 : 20H02123
  • 体系的課題番号 : JP20H02123

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

  2