2020年4月 - 2025年3月
惑星的な課題とローカルな変革:人新世における持続可能性、科学技術、社会運動の研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
2021年度は、引き続き新型コロナウィルス感染症のパンデミックにより、フィールド調査の実施に一定の制限がかかる状況が続いた。2020年度より状況は好転し、緊急事態宣言が発令されていない時期に断続的に調査を実施したものの、事前に感染拡大の予測を立てることは困難であり、パンデミック以前の研究体制に完全に復帰することはできなかった。そのため、今年度も継続して、フィールド調査に代わる代替的な調査を実施した。デジタル・メソッドを用いたオンライン上のデータ収集と分析に関しては昨年度以上に大幅な進展が見られた。また、草の根の持続可能性運動の調査では、これらの運動がしばしば強調するDIY活動にオンラインを通して参加するDIYエスノグラフィという手法を用いた。これはこうしたDIY活動にオンラインから参加し、自らもDIYを行う経験をすることで調査を行う方法で、対面でのフィールド調査を補う一定の成果をあげた。これらの調査方法は、現場の主要な関心事を把握するというフィールド調査の初期段階で、特に効果的であることが明らかになった。また、フィクションと社会調査を融合する実験的なプロジェクトも実施した。
一方、昨年度に引き続き、理論的な検討も行った。Latour、Chakrabartyらの人新世に関する議論の理解を深めるとともに、これらの思想の潮流と持続可能性に関する他の研究潮流、特に開発批判、脱成長論などとの関係性を検討した。その結果として、これらの議論が共通して、惑星規模の持続不可能性や資本主義の矛盾という問題と、共同生活や社会制度を介して人々と環境、動植物、地球物理学的プロセスの間のに形成される感覚的・情動的な関係という、スケールが異なる二つの問題の関係に焦点を当てていることが明らかになった。また、昨年度考察したスピノザ主義的な人類学理論は後者の理解に資するものであることが明らかになった。
一方、昨年度に引き続き、理論的な検討も行った。Latour、Chakrabartyらの人新世に関する議論の理解を深めるとともに、これらの思想の潮流と持続可能性に関する他の研究潮流、特に開発批判、脱成長論などとの関係性を検討した。その結果として、これらの議論が共通して、惑星規模の持続不可能性や資本主義の矛盾という問題と、共同生活や社会制度を介して人々と環境、動植物、地球物理学的プロセスの間のに形成される感覚的・情動的な関係という、スケールが異なる二つの問題の関係に焦点を当てていることが明らかになった。また、昨年度考察したスピノザ主義的な人類学理論は後者の理解に資するものであることが明らかになった。
- ID情報
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- 課題番号 : 20H00047
- 体系的課題番号 : JP20H00047
この研究課題の成果一覧
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論文
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Ecological Reparation: Repair, Remediation and Resurgence in Social and Environmental Conflict 90-103 2023年2月15日 査読有り
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『思想』 2022年(10) 82-102 2022年10月 招待有り
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日仏経済学会Bulletin (33) 63-73 2021年5月 招待有り
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Strategic Design Research Journal 13(3) 502-510 2020年12月 査読有り筆頭著者
MISC
3-
セルジュ・ラトゥーシュ著『脱成長がもたらす働き方の改革』中野佳裕訳、白水社、2023年 141-162 2023年12月
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Cultibase 2021年3月17日
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Cultibase 2021年3月15日
書籍等出版物
4-
白水社 2023年12月 (ISBN: 9784560094761)
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昭和堂 2023年10月 (ISBN: 9784812222232)
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本の泉社 2022年6月 (ISBN: 9784780722123)
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Fab Lab Barcelona, Institute of Advanced Architecture of Catalonia (IAAC) 2021年11月
講演・口頭発表等
12-
気候正義を脱植民地化する 2024年1月23日
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A workshop of the Asia-Norway Environmental Storytelling Network (ANEST) 2023年10月13日
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Department Seminar, Department of Anthropology, Amsterdam University 2023年9月7日 招待有り
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PhD Course on Experimenting with Ethnography 2023年8月30日 招待有り
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EcoBalance 2022: The 15th Biennial International Conference on EcoBalance 2022年11月1日
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日本平和学会2022年度春季大会 2022年6月18日
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日本ラテンアメリカ学会第43回年次大会 Special Talk Session with Arturo Escobar 2022年6月4日 招待有り
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Global Community Bio Summit (GCBS) 5.0 2021年11月21日
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応用哲学会サマースクール 2021年9月15日 招待有り
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2021年度日本建築学会大会(東海) 2021年9月8日 招待有り
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パネリスト(株)ロフトワーク、合同会社 Poietica 2024年3月2日
社会貢献活動
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