2012年 - 2015年
来華イエズス会士がもたらしたもの-『天学初函』に見る異文化概念の理解と齟齬-
文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究(C)) 基盤研究(C)
- 課題番号
- 24520047
- 体系的課題番号
- JP24520047
- 担当区分
- 研究代表者
- 配分額
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- (総額)
- 2,730,000円
- (直接経費)
- 2,100,000円
- (間接経費)
- 630,000円
- 資金種別
- 競争的資金
本研究課題にかかる平成25年度の研究実績は以下の通りである。まず、明末当時の思想状況を明確にするためにトウ豁渠の著書である『南詢録』の訳注作業を継続して行い、成果を発表した。これは、本課題の主要テーマである『天主実義』出版に関わったイエズス会士及び中国人士大夫が活動した明末期に於いて、当時の思想状況を活写する文献として好適であるためである。また、天主教に好意的であった人物の中には、仏教に関心を寄せていた者も多く、当時の仏教界に対する様々な視点をトウ豁渠が提示している事からも本課題の遂行に有益な知見を得る事が出来た。また、本課題の遂行に於いて念頭に置かれている「東アジア地域への俯瞰的視点の提示」を模索している過程で、朝鮮半島におけるカトリック・キリスト教(天主教)の思想研究を行った。その調査に付随する成果として、朝鮮半島で天主教に関わった人物を取り上げ、『岩波世界人名辞典』の「愼後タン、権哲身、権日身」を担当・執筆、出版した。これは、当時の朝鮮半島における天主教の状況を考えると同時に、現代韓国の天主教教会がこれらの人物を初期天主教教会の創設者と仰いでいる事から、現代の韓国天主教会の実情を考える事にもつながり、それは「台湾・中国・韓国・日本」という地域を相互俯瞰的に比較できる視点の獲得にも繋がっている。現代東アジア地域におけるカトリック・キリスト教の現地調査は、日本と中国・韓国との政治的関係の悪化、また中国での教会への取り締まり強化など「宗教界」を取り巻く環境が厳しくなったため、今年度も台湾での調査活動を重点化した。結果として、台北市、新北市の天主教教会は網羅的な悉皆調査を行う事が出来、整理のうえ、発表する予定である。
- リンク情報
- ID情報
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- 課題番号 : 24520047
- 体系的課題番号 : JP24520047