共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

腫瘍におけるBRCA2の変異と結合分子群の機能解明を目的とした新規モデルの作出

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
18H02334
体系的課題番号
JP18H02334
配分額
(総額)
16,640,000円
(直接経費)
12,800,000円
(間接経費)
3,840,000円

イヌの乳腺腫瘍および前立腺癌について、癌抑制タンパク質BRCA2が腫瘍の発症に及ぼす影響を解明するため、新規の実験モデルを作製するとともに、BRCA2の発現調節、RAD51等のBRCA2結合分子群や性ホルモン受容体関連分子などに焦点をあてて、これら分子の相互作用の影響も解析して腫瘍発症におけるこれらの分子の役割を明らかにすることを目的とした。
BRCA2は、相同組換えによるDNA損傷修復に必須の分子であって広く生物種で保存され、乳腺細胞ばかりでなくほとんどの細胞で発現しているがその調節には不明な点が多い。イヌBRCA2の5’非翻訳領域に存在するスプライシングバリアントを発見し、ヒトにおいても類似のバリアントが認められた。これらスプライシングバリアントの機能を調べるために培養細胞に発現ベクターで導入したところ、ほとんどのバリアントが翻訳効率を低下させることが判明した。さらに転写への影響を調べたところ、イントロン1においてヒトとイヌで保存された配列にサイレンサーとして機能する領域があることを見出した。
イヌとヒトのBRCA2のC末端RAD51結合ドメインを比較し、25アミノ酸からなるこのドメインのコアモチーフが同定された。このモチーフに変異(S3323N)が報告されていたが、野生型タンパク質と同様のRAD51結合活性を示して機能的に中立であることが示唆された。
イヌの前立腺癌の発生率は低いものの、アンドロゲン療法に抵抗性を示して臨床的予後は不良である点でヒトのアンドロゲン非依存性前立腺癌に似ている。イヌのアンドロゲン受容体(AR)は、そのN-末端にポリグルタミン(polyQ)配列を有する。イヌのARのN末端におけるpolyQは、ARのシグナル強度に影響を与え、イヌの前立腺癌のリスクに寄与している可能性を示した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H02334
ID情報
  • 課題番号 : 18H02334
  • 体系的課題番号 : JP18H02334