2019年4月 - 2022年3月
組織血液型抗原とがん・感染症に関する基盤的研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本研究は、我々がこれまで発見してきた血液型物質の遺伝的・血清学的知見を基盤に、小動物臨床において、より適正で安全な輸血医療体制の構築を継続するとともに、がん・感染症などの病態機序解明を目指し、赤血球膜表面に発現のみならず多くの組織・臓器に発現する組織血液型抗原を指標とした獣医学研究における基盤を形成する事を目的としている。研究3年目では、疾患との関連については、過年度より日本小動物医療センターの協力により収集しているネコ血液検体486例を分析した。その結果、血液型と疾患との明らかな相関は見出されなかった。また、前年度に限定的な解析結果ではあるが、ネコCMAH遺伝子において腫瘍や細胞増殖との関連の可能性が示唆されたSNPについて、簡便で多量検体解析が可能なTaqMan SNP Assay をカスタムデザインした。次年度、ゲノムバンクに含まれている腫瘍性疾患や感染症罹患個体の解析をする準備を整えた。輸血領域の研究では、ネコ血液検体486例の収集の結果、一般に頻度が極めて稀であるとされるAB型20例以上、また稀であるB型30例以上が収集された。既に一部血液型ジェのタイピングを実施し新規のヂィプロタイプも見出した。これらの検体の解析は、血液型分類を補完するCMAH遺伝子タイピング法の精度向上に繋がる知見が見出されると思われる。また、今年度は過年度の知見である、ネコAB式血液型における交差適合試験不適合ネコの表現型と遺伝子型の特徴について、研究成果を学術雑誌に投稿し公表した(Frontiers in Veterinary Science 8:7204455, 2021)。
- ID情報
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- 課題番号 : 19K06392
- 体系的課題番号 : JP19K06392