2022年4月
【2022のシェヘラザードたち】(第13夜)外勤の一人麻酔はリスクがいっぱい 知識と経験,技術をもたないと,起こるべきことは起こる!
LiSA 別冊
- 巻
- 29
- 号
- 別冊'22春号
- 開始ページ
- 75
- 終了ページ
- 79
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (株)メディカル・サイエンス・インターナショナル
<文献概要>私の麻酔科医人生は,波乱の幕開けであった。常勤麻酔科医となり初めて自分の名前で麻酔の同意書を取得した患者さんを左肺全摘除術後の「心臓ヘルニア」で失った。また,常勤となって初めての待機では,救急外来から「PCPS*1がうまく回りません」と連絡をもらい,わけがわからぬまま上級医を呼びつつ駆けつけたところ,脱血管が大腿静脈を貫いて動脈に留置されていたことが判明。もちろん私は上司の影に隠れているだけで何もできなかった。それから数ヵ月がたち,上司からの年賀状には「慣れた頃が危ないから気をつけろ」と書かれ,次の勤務先病院ではベテランの先生が「僕は毎日,"今日も事故を起こさないように"と肝に銘じて診療をしているのだよ」と言うのを聞き,しっかりと自分を戒め,油断せずにやってきたつもりであった。しかし,油断はしなくとも,知識や経験がないと,起こるべきことは起こるものである。今夜紹介する2症例は,私が大学病院で「中堅」として勤務中に,外勤先で経験したものである。どちらの症例も大学病院のICUに搬送することになった。
- ID情報
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- ISSN : 1344-932X
- ISBN : 9784815720179
- 医中誌Web ID : 2022202494