共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年6月 - 2019年3月

効果的な放射線治療に向けた制動放射光子に応答する発光ナノ材料の探索と応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)  挑戦的研究(萌芽)

課題番号
17K19103
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円
資金種別
競争的資金

本研究の目的は、申請者が見いだしたナノ材料でのX線励起発光を発展させ、新しい原理の発見として、高エネルギーの制動放射光子への応答を明らかにすることである。また、効果的な放射線治療の開発へ展開するための基盤を確立する。放射線治療は、外科的な手術や化学療法と共にがんに対する主要な治療法の一つと言える。治療効果の高い放射線治療法の開発が望まれ、その方法の一つに、治療効果を高める「複合的治療法」が挙げられる。特に、光化学反応を用いた手法が注目され、その光励起エネルギー源の可視光発光材料が必要になる。「光化学反応を用いた効果的な複合的治療法の開発」には、まず、放射線治療に用いる数MeV程度の制動放射光子に応答する発光ナノ材料自体の開拓調査が必要と考えた。申請者は、これまでに診断用50 keVのX-rayを励起光源として使用し、ナノ材料を用いたX線励起発光イメージングを実施した。結果、金クラスターやイリジウム錯体含有ポリマーナノ粒子で発光が見られることを明らかにした。一方、診断目的に加え、放射線は治療にも重要な役割を果たす。X-ray撮影に用いる診断用X線のエネルギーは50 keV程度であるのに対し、放射線治療に使われる小型リニアック (LINAC)は、数MeVの制動放射光子を照射する。しかしながら、後者の制動放射光子を用いた場合、生体親和性の高いナノ材料からの発光がどのような材料を用いれば起こるか現時点で知見はない。この発光の知見が得られれば、発光を化学反応の励起エネルギーとした、部位選択的なガス・治療薬の放出が可能になると考えた。今年度は、大阪大学産業科学研究所量子ビーム施設内のLINACのL-バンドからの20 MeV程度の電子線ビームでアルミ金属ターゲット存在下発生する制動放射光子を利用し、発光観察を試みた。

ID情報
  • 課題番号 : 17K19103