論文

2017年3月

小面積で分断化したブナ林の取扱い

長野県林業総合センター研究報告
  • 小山 泰弘
  • ,
  • 清水 香代
  • ,
  • 岡田 充弘

31
開始ページ
27
終了ページ
48
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
長野県林業総合センター

長野県内のブナ分布を精査したところ、ブナの分布域とされる温量指数45から85の地域では降水量が少なくてもブナが分布し、県内の概ね標高1,000m~1,500mの区域が,本来はブナの分布域と考えられた。ブナの孤立林の種子発芽率は、豊作年では大集団と同程度だったが、並作では種子も少なく発芽率も低かった。さらにブナ林集団としての遺伝的な多様性も低下しており、種子採取源として不適だった。ブナ孤立林の一つである松本市牛伏寺ブナ林で種子生産状況を詳しく調べたところ、豊作年でも並作年でも種子生産に貢献している成木がごく一部だったことから、子世代の遺伝的多様性はさらに低下することが危惧された。そこで、種子による増殖だけでなく挿し木による増殖も試みたが、挿し木増殖は壮齢大径木では不可能で、増殖可能な個体は若齢の小径木に限られていた。上記の結果から、壮齢の大径木のみが残る孤立ブナ林では、種子採取も挿し木増殖も難しく、将来の保全に向けて課題が残された。

リンク情報
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/220000154605
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN10149802
URL
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010911292 本文へのリンクあり
ID情報
  • ISSN : 1342-775X
  • CiNii Articles ID : 220000154605
  • CiNii Books ID : AN10149802

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