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2019年2月

【変形性股関節症とメカニカルストレス】歩行時における股関節疾患患者の下肢力学的エネルギー連鎖

理学療法ジャーナル
  • 加藤浩
  • ,
  • 阿南雅也

53
2
開始ページ
145
終了ページ
155
記述言語
日本語
掲載種別
記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)
出版者・発行元
(株)医学書院

本稿のキーワードは「エネルギー(energy)」である.読者諸氏は,このエネルギーという言葉を聞いて何を想像するだろうか? 広辞苑によるとエネルギーとは,「① 活動の源として体内に保持する力.活気.精力.② 物理学的な仕事をなし得る諸量(運動エネルギー・位置エネルギーなど)の総称.物体が力学的仕事をなし得る能力の意味であったが,その後,熱・光・電磁気やさらに質量までもエネルギーの一形態であることが明らかにされた」とある.つまり,物理学で言うエネルギーとは,仕事をすることのできる潜在的能力と定義することができる.では「仕事」とは何か? ここで言う仕事とは,物体に力を加えて,その物体が力を加えた方向に動かされたとき,その力は物体に対して仕事をしたと言う.よって,仕事(W)は加えた力(F)と物体が移動した距離(ΔS)の積(W=F×ΔS)で規定される.<br />
そう考えると,臨床場面での立ち上がり動作や歩行といった諸動作は,身体重心(center of gravity:COG)位置が移動(変位)するので,力により仕事がなされた結果であると言える.これをもう少し詳細に述べると,身体の各筋群が発揮した筋張力により各関節レベルで関節モーメントと言う力が発揮され,それら各関節レベルで発揮された力が仕事をした結果,COGが移動したと言える(図1)1).このようにエネルギーは,すべての動作発現に必要不可欠なものである.そこで本稿では,この仕事をすることのできる潜在的能力のエネルギーに焦点を当て,健常者と股関節疾患患者の歩行時における骨盤・大腿・下腿部での力学的エネルギー特性について解説する.

リンク情報
URL
https://webview.isho.jp/journal/detail/ref/10.11477/mf.1551201452
ID情報
  • ISSN : 0915-0552
  • eISSN : 1882-1359
  • 医中誌Web ID : 2019128037

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