2020年4月 - 2024年3月
信念対立解明アプローチに基づくストレス低減プログラムの開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
意見や価値観の確執である信念対立は、ストレスを引き起こす要因の1つであると考えられている。本研究は、信念対立によって生じるストレス反応の低減に役立つプログラムの開発を目指すものであり、本年度は信念対立解明アプローチの基礎にある原理に基づいて、信念対立に対する考え方の違いによってストレス反応が異なるかどうかを検討した。2因子12項目の5件法で構成される信念対立に対する考え方の傾向を測定する尺度を用い、その信頼性と妥当性を検討するとともに、ストレス反応やストレスに対する考え方の傾向を調べる尺度との関連性を調べた。その結果、信念対立に対する考え方の傾向を測定する尺度は良好な尺度特性を備えており、信念対立のポジティブな側面に着目する傾向がある場合は、ストレス反応が低減し、ストレスに対する考え方の傾向もポジティブである傾向があることがわかった。他方、信念対立のネガティブな側面に着目する傾向がある場合は、ストレス反応が増強し、ストレスに対する考え方もネガティブである傾向が認められることがわかった。こうした事象の背景にはつまり、信念対立解明アプローチの基礎にある立場によって意味、価値、存在といった構造のあり方が規定されるという原理のメカニズムがあるのではないかと考えられる。これを踏まえて、信念対立に対する考え方が、ネガティブなものからポジティブなものへと変容を促すことができれば、ストレス反応の低減や最適化につながる可能性があると考えて、考え方の変容に焦点を絞ったプログラムの作成に取りかかった。本研究では、多忙な日々の実践の中で生じる信念対立によるストレス反応に対処することができるように、簡易なプログラムを中心に整備していくことが目的であるため、その条件を満たしたせるプログラムの試作版の作成を試みた。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K03168
- 体系的課題番号 : JP20K03168