共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2026年3月

これならいける!革新的コンセプトに基づいたシート状有機集積回路の実現

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(B)

課題番号
21H01374
体系的課題番号
JP21H01374
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
17,420,000円
(直接経費)
13,400,000円
(間接経費)
4,020,000円

当該年度では,ワイドギャップ有機半導体(OSC)層に確実に電子を注入できる技術を確立するために,陽極/OSC層/電子注入層/陰極の構造を持つ縦型素子において,電子注入層の形成条件と電子注入性の評価を行った。比較対象として電子注入層を持たない素子,無機材料であるフッ化リチウム(LiF)を電子注入層に用いた素子,さらにpolyethyleneimine (PEI)およびpolyethyleneimine ethoxylated (PEIE) を電子注入層に使用した素子を作製した。当初はセシウム(Cs)蒸着膜を電子注入層に用いる予定であったが,大気中で予想以上に不安定であったため,申請書で発展的課題として候補に挙げていたPEIおよびPEIE薄膜を用いることとした。
得られた成果と考察は以下のとおりである。電子注入層を挿入しない素子では,電流密度が最も低くなった。これは,陽極側では,陽極とDPAの仕事関数の差が大きいためホールが注入されにくく,また,陰極側では,陰極とDPAの電子親和力の差が小さいため電子が注入されにくいことが原因と考えられた。これに対し,電子注入層を挿入した素子では電流密度が増大した。これは,陰極/有機半導体層界面に電子注入層が挿入されたことで,電子注入障壁が小さくなり電子が注入されたためと考えられた。特に,PEIとLiFを挿入した素子はその他の素子に比べ大きな電流がみられ,良好な電子注入性を示すことが明らかとなった。
一方,当該年度では磁性体シャドウマスクアライメント装置に加え,正確な特性評価を実現できるプローブステーションを窒素雰囲気下に構築した。さらに,トランジスタの構築に向けて基板の表面エネルギー計測装置を導入し,素子に適した基板表面修飾剤の選定も行った。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21H01374
ID情報
  • 課題番号 : 21H01374
  • 体系的課題番号 : JP21H01374

この研究課題の成果一覧

論文

  2

講演・口頭発表等

  7