共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

視線情報に基づく構造物点検技能の形式知化・標準化:VR技術による知の加速度的継承

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H02225
体系的課題番号
JP20H02225
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
17,550,000円
(直接経費)
13,500,000円
(間接経費)
4,050,000円

構造物の点検技能の継承は極めて重要であるが、属人化された暗黙知である点検技能の継承について体系的に取り組まれた研究事例は極めて少ない。本研究では構造物の定期点検の熟達者を発掘し【課題1】、①構造物の損傷状態の把握、②状態把握の情報に基づく対策区分判定における熟達者の暗黙知を、視線情報を利用して形式知へ変換し、自己組織化マップ(SOM)を用いて知の標準化を図る【課題2、3】。そして、仮想現実(VR)を用いて標準知を加速度的に継承する方法を確立する【課題4】。これら4課題を解決し、未踏領域である熟達点検者(伝承者)から非熟達点検者(継承者)へのシームレスかつ迅速な構造物の点検技能継承を実現する。
令和3年度では、熟達点検者の点検技能の形式知化を進めるとともに、特に仮想現実(VR)を用いて標準知を加速度的に継承する方法の確立について検討した。その結果、以下の知見が得られた。
【点検技能の形式知化について】
対策区分判定において、腐食の判定結果はばらつきが生じにくく、ひび割れや漏水・遊離石灰の判定結果ははらつきが生じやすい。また、ひび割れ、漏水・遊離石灰の損傷に関しては、損傷の進展性や発生要因に関する解釈が点検者間で異なり、判定に差異が生じた。
【VRを用いた形式知の継承法について】
点検未経験者の市民12名を対象に目視点検トレーニングを行い、VR空間上に投影した橋梁でトレーニング効果の検証を行った。その結果、動画トレーニングを5回視聴したグループと1回視聴したグループでは、5回視聴したグループの判定損傷の正答率が1回視聴したグループに比べて30%向上した。一方、VR上で各被験者の注視領域を解析した結果、実務者に比べて注視している領域が少なく、欠陥損傷発見数を向上するには、注視領域の更なる教育が必要であることが分かった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H02225
ID情報
  • 課題番号 : 20H02225
  • 体系的課題番号 : JP20H02225