2015年8月
土壌におけるMn/Fe酸化物と重金属との関係
日本土壌肥料学雑誌
- ,
- 巻
- 86
- 号
- 4
- 開始ページ
- 324
- 終了ページ
- 331
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- DOI
- 10.20710/dojo.86.4_324
- 出版者・発行元
- 日本土壌肥料學會
土壌中にはマンガン(Mn)や鉄(Fe)は比較的多量に存在し,日本における平均含有量はそれぞれ0.93g kg-1および53g kg-1である(Takeda et al.,2004)。酸化的条件下において,その大部分は酸化物(水酸化物・オキシ水酸化物も含む)であり,重金属(半金属も含む)を高濃度に収着している。一方で,収着された重金属はMn/Fe酸化物の溶解に伴って土壌溶液に放出される。さらに,一部の重金属はMnやFeとの酸化還元反応により挙動や毒性が大きく変化する。このように,Mn/Fe酸化物は土壌中の重金属の動態に大きく関与しているが,我が国では重金属動態の観点からのMn/Fe酸化物に対する関心は高いとは言い難い。これまでに日本土壌肥料学雑誌では,山本(1982)がMn/Fe酸化物を含めた非晶質粘土に対する重金属の収着機構について,牧野(2002)がMn酸化物と関連した重金属の酸化還元反応についてまとめている。本稿では,Mn酸化物と重金属との反応に関連する新しい知見や,Mn/Fe酸化物を用いた有害重金属の不溶化や作物による吸収の抑制,Mn/Fe酸化物に収着された重金属の抽出法を中心に概説することとした。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.20710/dojo.86.4_324
- ISSN : 0029-0610
- CiNii Articles ID : 110010031881
- CiNii Books ID : AN00195767