2005年 - 2007年
小児期の生活習慣病と将来の動脈硬化性心疾患発症に関する研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
生活習慣病が動脈硬化性心疾患の危険因子であることは多くの研究から明らかである。病理学的な動脈硬化病変は小児期から存在し、その進展は生活習慣病の存在で加速される可能性が高い。本年度の研究では(1)過体重児についてアディポサイトカイン(アヂポネクチン、レプチン、IL-6,IL-18,IL-1β etc)を測定し、小児期におけるアディポサイトカインの状況について検討した。また、(2)周産期の発育と将来の生活習慣病発症の関連解明のために、低出生体重児についてアディポネクチン及びレプチンを測定し、胎内及び出生後の発育との関連を解析した。(1)私達は過体重の評価にBMI-SDを用いているが、測定したアディポサイトカインはアディポネクチンを除いてすべてBMI-SDと有意な正相関を示した。またアディポネクチンは逆相関を示した。この結果は成人とほぼ同様であり、小児期の過体重が脂肪細胞の炎症を伴い、糖尿病や動脈硬化を進展させている可能性を強く示唆している(本結果は現在国際誌に投稿準備中である)。(2)これまで約50名の低出生体重児の解析を行っているが、レプチンに関しては学童、成人と同様に体重と正相関を示していた。しかし、アディポネクチンは周産期では学童や成人と異なり、体重と正の相関を示した。アディポネクチン亜分画の検討では、高分子アディポネクチンが満期産児に比べ、低出生体重児では有意に低かった。アディポネクチンが糖尿病や動脈硬化の抑制因子であることを考えると、周産期の脂肪組織の発育が将来の生活習慣病発症に関連することが示唆された(国際誌に投稿中)。
- ID情報
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- 課題番号 : 17390303
- 体系的課題番号 : JP17390303