共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2023年3月

内部被曝検査通知における医療従事者と来院者の相互行為分析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K02112
体系的課題番号
JP19K02112
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

今年度はデータ拡充のためにデータ収録を現地で2回行なった.前課題の時から協力をお願いしている医師に,福島県内の病院を新たに紹介していただき,病院の倫理委員会の承認も得られた.これまでに4件収録したビデオデータコーパスを拡充(30件ぐらいまで)することを目標としていた.それぞれ,9件および10件のデータが収集出来たが,まだ目標には程遠い.収録出来たデータはトランスクリプトを随時作成し,分析のために整理を行っているところである.
本年度は,本課題と関連するテーマで国内及び国外で研究発表を行った.まず,保健医療社会学会で,医療記録が診療の中で用いられるその実践を記述することで,医療記録(カルテ)が医療に関する個別の患者の記録であるということがどのような意味を持つのかを,それが実際に用いられ組織される活動の相互行為を分析している.この発表は現在論文化し,投稿中である.
国外でも関連するテーマで研究発表を行った.国際エスノメソドロジー・会話分析学会では,消化器外科の手術において,外科医たちが,どのように自分たちの視覚的判断や視覚的測定の行為を,身体や道具を用いて視覚的に構築することで達成しているのかを記述した.参与者の視角にもとづく説明が専門家の知識や経験として立ち現われ実証的に呈示されることを資源として,医療安全を確保することが協働で達成されている.このような知見は,高度に科学化されたたとえば外科手術などが,どのような日常言語を介した日常的な実践として行われているのかを知る手がかりを与えてくれるといえる.すなわち,本研究課題がテーマにしている,科学的知識を前提とするような内部被曝という事象を,専門家を含む人びとはどのように知覚しており,様々な実践において語られるのかを読み取ろうとする試みにも共通する知見であるといえる.このような観点からのデータの分析にこれから着手していきたい.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K02112
ID情報
  • 課題番号 : 19K02112
  • 体系的課題番号 : JP19K02112

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

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