2020年10月
小児科医の里子・養子の診療経験ならびに里親・養親支援に関する意識調査
大阪小児科医会会報
- 巻
- 号
- 195
- 開始ページ
- 26
- 終了ページ
- 33
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)大阪小児科医会
地域における里親・養親支援に資するべく、小児科医の里子・養子の診療経験ならびに里親・養親支援に関する意識について質問紙調査を行った。対象は一般社団法人大阪小児科医会会員715名である。方法は大阪小児科医会事務局から質問紙を郵送し、料金後納郵便で返送を求めた(返送率17.6%)。結果は(1)回答者の小児科医経験は平均28.8年、里子・養子の診療経験があるのは81名(65.3%)であった。(2)「里親・養親が受診したとき困った経験」は、養子縁組の成立前には「医療券(受診券)の使用について」6.5%、「子の姓が違う」12.1%、「子どもの既往歴がわからない」21.8%、「子どもの実家族の病歴がわからない」18.5%、「母子手帳の記載に関すること」17.7%、「手術の同意書に関すること」1.6%であった。医療者が困ったことの内容は、子どもの既往歴で予防接種歴やアレルギーがわからないこと、発達障害の相談で子どもや実親の発達歴がわからないことであった。(3)「里親・養親からの相談に乗ることができると思うこと」は、「子どもの病気」90.3%、「身体発育」89.5%、「心の成長」72.6%、「育てにくさ」69.3%、「思春期の問題」66.1%であった。(4)里親・養親の支援に関する自由記述は28件あり、「里親・養親を支援したい」、「里子制度に関する研修を求める」というものが多かった。小児科医がかかりつけ医としてかかわる中で、子どもの心の問題や思春期の相談に乗ることが里親・養親支援につながると考えられた。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 2189-4736
- 医中誌Web ID : 2021018754