2009年 - 2010年
増幅型光電変換システム開発に向けた半導体ナノ結晶の多重励起子生成に関する研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
本研究は、半導体ナノ結晶をドナーとする電子移動に有効な励起準位を解明することにより増幅型光電変換材料開発に適切な設計指針を与えることを目的とした。平成22年度には、(1)Ti : Sapphireフェムト秒パルスレーザーを導入したオープンアパーチャーZスキャン測定システムの構築、(2)CdTeナノ結晶-イオン液体複合体について近赤外波長領域における2光子吸収スペクトルの計測、および(3)本系を用いた2光子発光ダイナミクスと電子移動ダイナミクスの計測を計画通り行った。大面積PINフォトダイオードを用いて得た電気信号強度からロックインアンプを通じてノイズ除去を行った。信号強度はGPIBシールドケーブルおよびGPIBボードを通じてパーソナルコンピューターに転送した。LabVIEWを用いて制御・測定・解析を一元管理するためのソフトウェアを作製し、測定の自動化・簡便化を図った。本測定系を用いることにより、CdTeナノ結晶の2光子吸収断面積が励起波長750nmにおいておよそ6.5×10^4GMと見積もられた。この値は他のカルコゲニドナノ結晶(CdS、CdSeなど)に比べ、比較的大きい。また、CdTeナノ結晶から電子アクセプター分子への電子移動の時定数は数10ピコ秒と見積もられた。この時定数は既報の複数励起子消滅の時定数と同程度であり、平成21年度に開発したアクセプター分子が吸着したCdTeナノ結晶の有用性が示された。
- ID情報
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- 課題番号 : 09J08416
- 体系的課題番号 : JP09J08416