MISC

2020年9月

【周産期メンタルヘルスの今】トリプトファン代謝経路に注目した産後うつ病のバイオマーカー開発

精神医学
  • 毛利 彰宏
  • ,
  • 齋藤 邦明
  • ,
  • 尾崎 紀夫
  • ,
  • 鍋島 俊隆

62
9
開始ページ
1259
終了ページ
1267
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(株)医学書院

<文献概要>多くの女性は妊娠期および産後に抑うつ症状を経験する。これら周産期における抑うつの早期発見・治療は非常に重要であるが,妊娠期・産後の定期検診での診断・治療は難しい。周産期におけるうつ病の診断ができるバイオマーカーの同定が求められている。抑うつ症状は妊娠中の炎症性病的状態を伴う。うつ病の発症に炎症によるトリプトファン代謝の変化が関連することが注目されている。本総説では妊娠・分娩による血漿中トリプトファン代謝産物の変化と妊産婦の抑うつ症状との関連について紹介する。エジンバラ産後うつ病自己評価票(EPDS)に基づき,被験者を非抑うつグループ,産後抑うつグループ,妊娠期抑うつグループおよび持続的抑うつグループに分け,妊娠中と産後における血漿中トリプトファン代謝産物量を測定した。産後抑うつグループにおいて,妊娠期の血漿中キヌレニン(KYN)およびキヌレン酸(KA)濃度,KYN/TRPとKA/KYN比率の高値,産後の血漿中3-ヒドロキシアントラニル酸(3HAA)濃度の低値が認められた。以上の結果より,妊娠期の血漿中KYNおよびKA濃度,KYN/TRPとKA/KYN比率は産後うつ病の予測バイオマーカーとして,産後の血漿中3HAA濃度は産後うつ病の診断バイオマーカーとして有用性が期待される。

リンク情報
J-GLOBAL
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202002263765856341
URL
https://search.jamas.or.jp/index.php?module=Default&action=Link&pub_year=2020&ichushi_jid=J00749&link_issn=&doc_id=20200910120011&doc_link_id=10.11477%2Fmf.1405206182&url=https%3A%2F%2Fdoi.org%2F10.11477%2Fmf.1405206182&type=%88%E3%8F%91.jp_%83I%81%5B%83%8B%83A%83N%83Z%83X&icon=https%3A%2F%2Fjk04.jamas.or.jp%2Ficon%2F00024_2.gif
ID情報
  • ISSN : 0488-1281
  • eISSN : 1882-126X
  • 医中誌Web ID : 2020395891
  • J-Global ID : 202002263765856341

エクスポート
BibTeX RIS