1997年 - 1998年
文学と絵画の関係についての中国・韓国・日本の比較研究
科学研究費助成事業(明治大学) 科学研究費助成事業(基盤研究(C)) 基盤研究(C)
本研究においては日本:中国:韓国における仏教説話の図像化と、日本・中国・韓国における文人画(山水画)とに二分して進行させた。後者文人画の研究にあっては土大夫精神の形象化という側面に着目し、儒教説話の図像化についても研究対象とした。前者仏教説話については中国四川省重慶市大足県に散在する仏教遺跡の調査を行うとともに現地研究者のレビューを受けて、仏教経典・説話、あるいは民間信仰がどのように形象化されているかについて数々の知見を得て、論文の形式で成果をまとめた、殊に宝頂山における五趣生死輪の調査は新発見の報告へとつながった。また日本の民間信仰である「賽の河原」説話の図像化という点では、中国には類似の信仰形態が存在せぬことが確認された。中国のみならず、韓国へ訪問し、「二河白道」説の展開を跡付け、浄土教文化と韓国の死霊祭の巫俗との関連についても知見を得た。また天人五衰の説話について源氏物語への投影を検討することが出来た。後者のうち儒教説話の図像化については日本の二十四孝伝説について、比較文学的手法で綿密な分析を加えさし絵の様態についても、その淵源をたどることが出来た。文人画については近世の文人画の一達成たる「十便十宜」図に題画詩との関連を重視して検討を加え、浦上玉堂の題画詩に関する造詣をさぐった。これらも論文形式でまとめえた。また中国揚州において清代の文人サークル揚州八怪について調査を進め、彼らの作品を実見して、詩と絵画の関係について日本への影響という観点から新知見を得た。
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- 課題番号 : 09610446
- 体系的番号 : JP09610446