共同研究・競争的資金等の研究課題

1997年 - 1998年

新井白石・古賀精里・山梨稲川の作品を中心とする日本近世漢詩文の研究

科学研究費助成事業(明治大学)  科学研究費助成事業(奨励研究(A))  奨励研究(A)

配分額
(総額)
1,400,000円
(直接経費)
0円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

本年度は課題名にある3名の中、特に新井白石の漢詩作品に研究が集中した。古賀精里については静嘉堂文庫所蔵の『精里全著』に収載された詩文の制作年次考証を行った。また山梨稲川については静岡県立中央図書館葵文庫の蔵する『稲川詩稿』中の詩文について、版本『稲川詩草』との本文の異同に留意しつつ、制作年次と作品内容について研究を進めた。白石に研究が集中した理由は、新資料『陶情詩集』の内容が興味深かったことに因る。『陶情詩集』は長くその書名のみが知られその所在が不明であったが近年石川忠久氏により、名古屋の白石の子孫の方の家に蔵せらるることが明らかにされ、併せてその内容について検討が加えられた。石川氏の御研究は白石における『三体詩』受容の跡を明らかにされ、その中晩唐詩や宋詩の影響を示唆するものであったが、本研究ではその顕著な宋詩受容の跡をさらに具体的にしようとしたものである。宋詩については従来その影響を疑問視された蘇軾の摂取を『陶情詩集』中の作品によって、明確に指摘しえた。従来の研究は白石の詩が古文辞学派に先駆けて排他的に唐詩に学んだことばかりを論じていたわけだが、青年期の白石は唐詩にばかり拘泥せずに宋詩にも学び、ことに蘇軾・五安石・陸游といった大詩人の作中の秀逸な句を換骨奪胎して自作に採り入れていることが明らかになった。このことの理由としては五山以来、林家でも途絶えなかった宋元詩文推重の風が白石においても脈々と継承されていたことがひとつ考えられる。さらに白石が『陶情詩集』中の作を詠じた時期、浪人生活を余儀なくされており、日常身辺の雑事に喜びを見い出す宋詩が意に叶なったことも考えられる

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URL
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/09710315.ja.html