基本情報

所属
創価大学 文学部 人間学科  教授
学位
博士(人文学)(創価大学)

研究者番号
70440237
J-GLOBAL ID
201001012337922721
researchmap会員ID
6000026740

新規プロフィール(2025年現在)
私は哲学・思想史の研究に携わるなかで、哲学は体系の中に閉じこもるものではなく、芸術や教育、社会の営みの中で呼吸し続けるものだと考えてきました。自身の歩みをふり返ると、常に三つの「架橋」を試みてきました。

第一に、哲学と芸術の架橋。
哲学と音楽の交差点に身を置き、カントの宇宙論とベートーヴェンの創作を往還させながら、『哲学するベートーヴェン』を著しました。そこでは「崇高」や「道徳法則」といった理念が、創作のなかでどのように受容されたのかを探究しました。現在はさらに視野を広げ、絵画や現代芸術を含めた『アートの哲学』を執筆しています。哲学は芸術に挑発され、芸術は哲学によって照らし返される――その緊張と共鳴を描き出すのが目標です。

第二に、西洋哲学と日本思想の架橋。
科研費研究の代表者として共同研究の成果を『新カント派の哲学と近代日本』にまとめ、ドイツ哲学が日本にどのように受容され、独自に変容してきたのかを追究しました。日本の法学・政治学・文学における新カント派の影響を読み解くことは、単なる受容史ではなく、思想が交差する瞬間を浮かび上がらせる営みです。研究とは、輸入と模倣の歴史ではなく、創造的変容の歴史を描くことであると考えています。

第三に、カント主義とデューイ主義の架橋。
日本カント協会と日本デューイ学会の双方に所属する数少ない研究者として、ドイツ古典哲学とアメリカ・プラグマティズムという一見対極的な二つの潮流の交差点を探究してきました。両者は異なる哲学的言語をもちながら、教育・価値・芸術をめぐって意外な共鳴を示します。ペスタロッチやヘルバルトといった媒介者に注目しつつ、私は両者の対話を促し、互いの空白や共通地平を映し出すことを目指しています。

この三重の架橋を通じて、私は哲学を「交差点」として開く営みに取り組んできました。哲学は、芸術や教育、社会的実践との交差においてこそ新しい姿を現します。その瞬間を歴史的に、そして学際的に記述する試みとして、私は哲学を一つの学問に閉じ込めるのではなく、文化と文化、人と人、思想と思想が交わる場としての「知の歴史」を描こうと考えています。

旧プロフィール(2015年):
卒業論文ではカントを、修士論文・博士論文では彼の批判的継承者の一人であるショーペンハウアーを扱いました。自由論・意志論に関心があり、博士論文ではとくに法・国家・戦争といった社会史的問題を軸としてドイツ近代哲学の再解釈を試みました。これからはショーペンハウアーと同じくカントの批判的継承者であるフィヒテ、シラー、ヘルバルト等も視野に入れながら、ドイツ人文主義の社会史的研究を進めるとともに、中江兆民、内村鑑三、幸徳秋水、左右田喜一郎、美濃部達吉といった近代日本の思想家も含めたカント社会哲学受容史を探索したいと考えています。


委員歴

  19

受賞

  1

論文

  50

MISC

  42

書籍等出版物

  10

講演・口頭発表等

  68

担当経験のある科目(授業)

  12

所属学協会

  15

共同研究・競争的資金等の研究課題

  7

学術貢献活動

  54

社会貢献活動

  46

メディア報道

  22