2010年 - 2012年
軸索ガイダンスにおける成長円錐の自律性と翻訳トランス因子の役割
文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究(C)) 基盤研究(C)
今年度は、成長円錐におけるmRNAとmRNA結合タンパク質の局在変化について解析するために、まずβ-actin mRNAとその結合タンパク質であるzipcode binding protein 1(ZBP1)を例に検討した。大脳皮質神経細胞の分散培養系において、脳由来神経栄養因子(BDNF)刺激により、β-actin mRNAとZBP1の成長円錐への局在は増加した。また、ZBP1のβ-actin mRNA結合制御に必要な396番目のチロシンリン酸化も同時に亢進していた。次に成長円錐における局所翻訳を解析するために、β-actinの3'-非翻訳領域と膜結合型GFPを融合させた翻訳レポーターを作成した。同翻訳レポーターを大脳皮質神経細胞に導入し、BDNFを投与したところ、成長円錐内の蛍光輝度が上昇した。同蛍光輝度の上昇がSrc型チロシンキナーゼの阻害剤で抑制されたことから、BDNFによるSrcを介したZBP1のチロシンリン酸化が成長円錐で起こり、β-actin mRNAの局所翻訳を亢進することが示唆された。さらに、軸索ガイダンスにおける局所翻訳の役割を解明するために、β-actin mRNAの翻訳を阻害するZBP1のリン酸化部位変異体を導入し、成長円錐の回旋アッセイを行った。同リン酸化変異体はBDNFによる成長円錐の回旋応答を抑制し、ドミナント・ネガティブの表現型を示した。以上よ...
- ID情報
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- 課題番号 : 22500336