共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2023年3月

新規マウスモデルを用いた細胞老化制御機構の解明による『老い』の分子基盤の構築

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
19H03431
体系的課題番号
JP19H03431
配分額
(総額)
17,160,000円
(直接経費)
13,200,000円
(間接経費)
3,960,000円

細胞老化は個体老化・加齢性疾病の発症・進展に深く関与することが知られている。生体内における細胞老化の役割を解明するために、2019年度、本研究を実施するにあたり重要なツールとなる、世界で初めて老化細胞を個体で同定・単離・トレースを可能にした『p16-tdTomatoマウス』の樹立に成功した。さらに、正常・非アルコール性脂肪肝炎を誘導した肝臓における一細胞RNA-seq解析を行った結果、病態に応じて様々な細胞種が老化細胞になることが分かった。
2020年度は、前年度に引き続き、一細胞RNA-seq解析データを基に詳細な遺伝子発現解析を行った。その結果、正常肝臓でもっとも老化細胞の割合が多かった肝類洞壁内皮細胞では、細胞老化に伴いタンパク質の品質管理に関わる機能が低下することが示唆された。また、次に老化細胞の割合が多かったクッパ―細胞では、細胞老化に伴い免疫機能の低下とともに、肝類洞壁内皮細胞様に遺伝子発現パターンを示すことが明らかになり、細胞の同一性の喪失が生じていることが示唆された。一方、非アルコール性脂肪肝炎を誘導した肝臓においては、正常肝臓で認められた肝類洞壁内皮細胞やクッパ―細胞の変化に加えて、多くの免疫細胞で老化細胞が認められることが分かった。特にマクロファージ細胞では、培養細胞を用いた解析で報告されているように、炎症機能の増強が認められることが分かった。
以上の結果から、少なくとも肝臓においては、生体内における老化細胞は細胞種や病態によって大きく性質が異なることが明らかになった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19H03431
ID情報
  • 課題番号 : 19H03431
  • 体系的課題番号 : JP19H03431