2021年4月 - 2024年3月
SARS-CoV-2のS1による全身性炎症に対する運動の予防効果とメカニズム
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
- 課題番号
- 21K11472
- 体系的課題番号
- JP21K11472
- 担当区分
- 研究代表者
- 配分額
-
- (総額)
- 4,160,000円
- (直接経費)
- 3,200,000円
- (間接経費)
- 960,000円
- 資金種別
- 競争的資金
令和3年度は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質によるマクロファージの炎症性応答に対する習慣的運動の効果を検討した。4週齢雄性C57BL/6Jマウスを自発走運動群および対照群に分けて10週間飼育した後、腹腔滲出マクロファージを採取して、SARS-CoV-2リコンビナントスパイクタンパク質S1サブユニット(S1:100 ng/ml)またはリポ多糖(LPS:100 ng/ml)で刺激した。培養上清中に分泌されたインターロイキン-6(IL-6)の濃度をELISA法で測定した結果、S1およびLPSによるIL-6の分泌誘導の程度はいずれも両群間で有意な差が認められなかった。従って、習慣的運動は、少なくともマウス腹腔滲出マクロファージのS1およびLPSに対する感受性には影響を及ぼさないと考えられる。
一方、本研究課題の申請時、toll様受容体4(TLR4)のアンタゴニストとsiRNAを用いた実験によって、S1はLPSと同様にマクロファージのTLR4を介して転写因子NF-κBおよびc-Jun N末端キナーゼJNKを活性化することでIL-6のmRNA発現誘導を促すことをすでに報告していた(Shirato and Kizaki: Heliyon 7: e06187, 2021)。本年度は、S1によるIL-6のmRNA発現誘導は分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼMAPKのキナーゼ阻害剤U0126によってほぼ半減するが、LPSによるこの炎症性応答に対しては抑制効果が認められないことを明らかにした。以上より、S1とLPSはTLR4を介して炎症性応答を引き起こすことは共通しているが、その細胞内シグナル伝達経路には相違があることが示唆された。
一方、本研究課題の申請時、toll様受容体4(TLR4)のアンタゴニストとsiRNAを用いた実験によって、S1はLPSと同様にマクロファージのTLR4を介して転写因子NF-κBおよびc-Jun N末端キナーゼJNKを活性化することでIL-6のmRNA発現誘導を促すことをすでに報告していた(Shirato and Kizaki: Heliyon 7: e06187, 2021)。本年度は、S1によるIL-6のmRNA発現誘導は分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼMAPKのキナーゼ阻害剤U0126によってほぼ半減するが、LPSによるこの炎症性応答に対しては抑制効果が認められないことを明らかにした。以上より、S1とLPSはTLR4を介して炎症性応答を引き起こすことは共通しているが、その細胞内シグナル伝達経路には相違があることが示唆された。
- リンク情報
- ID情報
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- 課題番号 : 21K11472
- 体系的課題番号 : JP21K11472