2010年8月
詐害行為取消しの範囲と現物返還――現状と責任説的基礎での再構築の可能性
- 作品分類
- その他
- 発表場所
- 明治学院大学法律科学研究所 『明治学院大学法律科学研究所年報』
まず、原物返還原則として価格賠償も例外的に認める我が国の詐害行為取消法では取消しの範囲という語が多義的に使われるているので、それを整理した。次に、ドイツの取消権法が働く基盤である責任訴訟においては、判例・通説である債権説と有力説である責任説の効果論における相違がないことを指摘した。必要な範囲で逸失財産の取戻しを可能とするドイツの効果論を我が国に導入できれば、取消しの範囲の多義性という問題はなくなる。導入できない場合には次善の策として、価格賠償の一元化すべきことを提案する。