共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

サル、ウマ、展示動物を対象とした「出会い」と「別れ」に関する行動研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K12731
体系的課題番号
JP19K12731
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

社会の中で暮らす動物が親しかった動物と別れた時、あるいは未知な同種個体が加わった時、互いにどのような行動をするのかを、行動観察によって明らかにすることを、本研究は目指している。しかし、2020年度はコロナ禍のために、予定していた野外調査がほとんどできなかった。そこで、ウマの観察とこれまでに集積しているデータの整理に注力した。
野生ニホンザルを対象とした研究では、過去30年間にわたって蓄積している記録をもとに、中心部オトナオスの一部の個体が1歳未満の特定の子ザルに対する抱く、運ぶ、毛づくろいするという世話行動をmale-careとして分析した。中心部成体オスの約40%のサルが少なくとも1頭の1歳未満の子ザルに子ザルにmale-careしていた。対象となる子ザルはメスの子ザルが有意に多く、オスと子ザルの特別な関係は冬から初春にかけての時期に開始すること、その関係は子ザルがオトナになっても続く事例も確認できた。この研究は現在、投稿論文の改稿中である。
動物園で暮らすクロサイの子育てを4年半にわたって記録したデータをもとに、授乳行動を分析をした。クロサイの母が子の授乳請求行動を許す割合は授乳期間を通じて常に50%以上で、毎回の授乳では母が動いて止めさせるのではなく、子が自ら乳首を離して終了することが授乳期間を通して50%以上であった。これらの事実から、誕生した子がいつも母と一緒に過ごす追従型の子育てをする有蹄類の中で、クロサイの母は特段に寛容性が高い子育てをする種であることが示唆された。
ウマのデータについては、2019年度と同様に、2020年度のデータを収集した。ただし、コロナ禍のため、19年度に比べてサンプル数は3分の1程度にとどまった。2020年度の観察対象の2個体は、同時期に出産した比較的子育て経験の少ない母とその子を観察した。現在、データの解析中である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K12731
ID情報
  • 課題番号 : 19K12731
  • 体系的課題番号 : JP19K12731