共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年6月 - 2021年3月

コラーゲン分析による日本の遺跡出土の「同定不能骨片」同定のための基礎的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)  挑戦的研究(萌芽)

課題番号
18K18521
体系的課題番号
JP18K18521
配分額
(総額)
6,240,000円
(直接経費)
4,800,000円
(間接経費)
1,440,000円

コラーゲンタンパクのアミノ酸配列の違いに基づく遺跡出土動物骨の同定は、ヨーロッパや北米を中心に近年急速に発達している。一方で、これらの地域と日本では生息する種が異なるため、作成された同定基準は日本の遺跡から出土した動物骨の同定に直ちに適用することはできない。そこで、本研究では日本の遺跡から出土した「同定不能骨片」の同定のために、主に日本産哺乳類を対象としたコラーゲンタンパク分析による骨の同定基準を作成し、実際に遺跡出土資料を同定するために研究を進めている。今年度は以下の実験をおこなった。
1.北海道大学総合博物館および国立科学博物館において現生のクジラ類・鰭脚類を中心とした日本産哺乳類の骨標本の収集・作成を進めるとともに、収蔵されている標本をサンプリングし、コラーゲンタンパクの抽出とトリプシン切断断片のピークリストの作成をおこなった。分析の結果得られたピークには、特定の科や属、種あるいは特定の複数の分類群に特徴的に出現するものが含まれていた。今後、さらに分析標本の数を増やしていくことで、これらのピークを利用してより低次の分類群を単位とした遺跡資料の同定に利用できると考えられる。
2.沖縄県石垣市の石城山遺跡から出土したリュウキュウジカのコラーゲンタンパク分析を実施した。しかし、コラーゲンの劣化のためか、トリプシンの切断断片のピークはほとんど得られなかった。利用するサンプル量を増やす、コラーゲンタンパクの抽出方法を改良する、濃縮方法や脱塩方法を検討するなどの対応が必要と考えられる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K18521
ID情報
  • 課題番号 : 18K18521
  • 体系的課題番号 : JP18K18521