2020年11月 - 2025年3月
動物考古学から探るユーラシア家畜文化のダイナミズム
日本学術振興会 科学研究費助成事業 学術変革領域研究(A) 学術変革領域研究(A)
本研究では、中国文明の形成に作用した中国新石器時代晩期の諸地方文化要素の融合(内的因子)と中央アジアで成立した牧畜文化の受容(外的因子)という二つの大きな歴史動態および、周辺地域への波及を動物考古学的研究から導き出すことで、新たなユーラシア家畜文化史の提示を目指す。コロナ禍により現地調査は制限されているものの、可能な範囲で実施しつつ、これまでの研究をまとめた成果発表や、アウトリーチ活動に取り組んだ。ウズベキスタン南部山岳地帯のカイナル・カマル岩陰遺跡では、紀元前六千年紀を境にヒツジ/ヤギの比率が急増するとともにウシが出現する現象を捉え、当該地域の牧畜導入時期を明らかにした。浙江省文物考古研究所との共同研究では、新石器時代長江下流域の田螺山遺跡より発見されたガチョウが、世界最古の家禽であることを明らかにし、その成果は米国科学アカデミー紀要に掲載され、Science誌にも取り上げられるなど、世界的な注目を集めた。また、最後の牧畜家畜として中国へ伝来したラクダについて、近年の新資料と共に導入過程を再検討し、第一波として、西周時代併行期に天山山脈一帯で利用が始まり、その後、春秋戦国時代の第二波に、河西回廊附近まで広域に普及していたことを明らかにした。このほか、奈良県磯城郡田原本町にて、弥生時代の唐古・鍵遺跡から出土した動物遺存体の調査を実施し、大陸の影響を受けた下顎骨懸架の習俗にかかわる資料として、イノシシ/ブタの性別、年齢構成について検討した。さらに、奈良県天理市の古墳時代から古代の布留遺跡から出土した動物遺存体の調査では、ウマを主体としながらも、ウシの利用も確認できるなど、朝鮮半島を経由して九州、本州に渡来した家畜である牛馬と王権との関りの一端が明らかにできた。こうした実践的な調査、研究に加え、今後の研究で必要となる現生動物の比較骨標本の拡充を進めた。
- ID情報
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- 課題番号 : 20H05819
- 体系的課題番号 : JP20H05819
この研究課題の成果一覧
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論文
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金沢大学考古学紀要 (43) 59-66 2022年3月14日 査読有り筆頭著者
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Proceedings of the National Academy of Sciences 119(12) 1-9 2022年3月7日 査読有り
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Animal Frontiers 11(3) 30-42 2021年6月19日 査読有り
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Journal of Archaeological Science: Reports 37 1-9 2021年6月 査読有り
書籍等出版物
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雄山閣 2022年10月 (ISBN: 9784639028628)
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雄山閣 2022年10月
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新泉社 2021年6月25日 (ISBN: 9784787721099)
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外為印刷 2021年6月20日
講演・口頭発表等
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日本古病理学研究会 第8回大会 2023年12月9日
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日本文化財科学会第40回記念大会 2023年10月22日
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14th International Conference of Archaeozoology 2023年8月11日
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Ўзбекистон Республикаси ҳудудида 2022 йилда олиб борилган археологик тадқиқот-лар натижаларига бағишланган ҳисобот сессиясининг 2023年3月16日 招待有り
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中央アジア東部地域での定住集落の出現 2023年2月14日 招待有り
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日本中国考古学会2022年度大会 2023年1月8日
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Archaeozoology of Southwest Asia and Adjacent Areas 15th Meeting 2022年12月2日
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ICAZ-ASWA 15th International meeting 2022年12月2日
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9th Worldwide Conference of the Society for East Asian Archaeology 2022年7月3日
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絲綢之路考古:中日学術研討会 2022年5月7日
Works(作品等)
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2015年12月 - 2022年8月 データベース
社会貢献活動
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