共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年11月 - 2025年3月

動物考古学から探るユーラシア家畜文化のダイナミズム

日本学術振興会  科学研究費助成事業 学術変革領域研究(A)  学術変革領域研究(A)

課題番号
20H05819
体系的課題番号
JP20H05819
配分額
(総額)
82,160,000円
(直接経費)
63,200,000円
(間接経費)
18,960,000円

本研究では、中国文明の形成に作用した中国新石器時代晩期の諸地方文化要素の融合(内的因子)と中央アジアで成立した牧畜文化の受容(外的因子)という二つの大きな歴史動態および、周辺地域への波及を動物考古学的研究から導き出すことで、新たなユーラシア家畜文化史の提示を目指す。コロナ禍により現地調査は制限されているものの、可能な範囲で実施しつつ、これまでの研究をまとめた成果発表や、アウトリーチ活動に取り組んだ。ウズベキスタン南部山岳地帯のカイナル・カマル岩陰遺跡では、紀元前六千年紀を境にヒツジ/ヤギの比率が急増するとともにウシが出現する現象を捉え、当該地域の牧畜導入時期を明らかにした。浙江省文物考古研究所との共同研究では、新石器時代長江下流域の田螺山遺跡より発見されたガチョウが、世界最古の家禽であることを明らかにし、その成果は米国科学アカデミー紀要に掲載され、Science誌にも取り上げられるなど、世界的な注目を集めた。また、最後の牧畜家畜として中国へ伝来したラクダについて、近年の新資料と共に導入過程を再検討し、第一波として、西周時代併行期に天山山脈一帯で利用が始まり、その後、春秋戦国時代の第二波に、河西回廊附近まで広域に普及していたことを明らかにした。このほか、奈良県磯城郡田原本町にて、弥生時代の唐古・鍵遺跡から出土した動物遺存体の調査を実施し、大陸の影響を受けた下顎骨懸架の習俗にかかわる資料として、イノシシ/ブタの性別、年齢構成について検討した。さらに、奈良県天理市の古墳時代から古代の布留遺跡から出土した動物遺存体の調査では、ウマを主体としながらも、ウシの利用も確認できるなど、朝鮮半島を経由して九州、本州に渡来した家畜である牛馬と王権との関りの一端が明らかにできた。こうした実践的な調査、研究に加え、今後の研究で必要となる現生動物の比較骨標本の拡充を進めた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PLANNED-20H05819
ID情報
  • 課題番号 : 20H05819
  • 体系的課題番号 : JP20H05819

この研究課題の成果一覧

論文

  4

書籍等出版物

  4

講演・口頭発表等

  13

Works(作品等)

  1

社会貢献活動

  2