共同研究・競争的資金等の研究課題

太陽と地球の関係を一つのシステムとしてとらえることは、そこで展開される生命活動、人類活動、経済活動などを理解する上で極めて重要であることが分かってきている。このシステムへのエネルギーの供給一つである太陽風(プラズマと磁場)は、太陽黒点活動に伴い100%に近い大きな変動をし、太陽地球環境に様々な影響を与えている。我々は、人工衛星や人工惑星では観測不可能な太陽近傍や惑星公転面を高く離れた宇宙空間を吹く太陽風を三次元的に、かつ短期間に観測できる天体電波を用いたリモートセンシング法(惑星間空間シンチレーショ・・・


資金種別
競争的資金

太陽と地球の関係を一つのシステムとしてとらえることは、そこで展開される生命活動、人類活動、経済活動などを理解する上で極めて重要であることが分かってきている。このシステムへのエネルギーの供給一つである太陽風(プラズマと磁場)は、太陽黒点活動に伴い100%に近い大きな変動をし、太陽地球環境に様々な影響を与えている。我々は、人工衛星や人工惑星では観測不可能な太陽近傍や惑星公転面を高く離れた宇宙空間を吹く太陽風を三次元的に、かつ短期間に観測できる天体電波を用いたリモートセンシング法(惑星間空間シンチレーション)を用いて太陽風の観測研究を行っている。専用の観測装置を用いて、太陽風を地上から年間連続して(冬季を除く)長期間観測を行っているのは世界中で我々のみである。
シンチレーションを用いた太陽風観測には、飛翔体観測に比べいくつかの長所があるが、リモートセンシングであるため、観測の空間分解能は悪く、観測される太陽風速度も大きなバイアスがかかっていた。この難点を解決するために、日米共同で計算機トモグラフィー法を応用する解析方法の開発に近年成功した。空間分解能と観測精度の向上した新観測法を用いて、太陽風起源の新モデルの提唱につながるコンパクト低速流の研究や太陽風加速プロファイル、三次元構造の研究を行っている。
2003年に米国で打ち上げられる太陽質量放出現象観測衛星(Sola Mass Ejection Imager)との日米共同観測が予定されている。また、2004年から始まる国際プロジェクト「太陽地球系の気候と天気」(Climate And Weather of the Sun-Earth System) の中においても本観測は重要な役割を果たす。